Top About New GSX-R R750L R750K4 Life ETC Silly Link BBS

●ステムベアリングの交換


うっすらと打痕が残るアウターレース

 走行距離が累計で30000キロ(中古購入の為、実際に私が乗ったのは9000キロ弱)を超えました。今年は車検の年でもあり、また、2000年ということで、90Lが登録されて10年目ともなる節目の年です。

 バイクに限らず、機械の状況管理には基本的に2つの方法があり、1つは「時間」を基準にして管理する方法、もう1つが「実際の消耗度」を基準にして管理する方法です。まぁ、殆どの方が2つの方法を併用しながらバイクライフを送っていると思いますし、それは私も同じです。

 さて、なんらかの故障が起こったのならともかく、徐々に劣化した性能低下を察知するのはよっぽど感性が鋭くなければ難しく、今回交換したステムベアリングも実際にはそれほど「問題」を感じていた訳ではありませんでした。まぁ、フロントを浮かしてゆっくりとハンドルを左右に切ると微かに「クキッ!」とした感触が伝わる個所はあったのですが........。それよりも気になったのが、時々、本当に極たまに、60キロほどの定速直進走行で「蛇行」することでした。まるでステムナットをしめ過ぎ、もしくはステダンが効き過ぎている時のようにフラフラすることがあったのです。が、これもフルブレーキングしたりするとすぐに症状が収まったりして、なかなか原因が特定出来なかったんですね。ステムガタが出ている兆候も無かったし......。うぅむ。

 これがなんとも気持ちが悪かったので、10年目の節目という事もあり、思い切って交換する事にしました。前回がいつ交換したのかも不明だったしね。

 普通なら純正部品を注文してそのまま交換って手順になるのですが、そこは「変な注文の多い客」と呼ばれる私の事ですので(笑)、一筋縄ではいきません。

 GSX-R750Lのステムベアリングはいわゆる「テーパーローラーベアリング」と呼ばれるタイプで、「ボールベアリング」に比べ、構造上、高い荷重に耐えられるように出来ています。一時期、高性能ベアリングの代名詞のようになっていたこのテーパーローラーですが、最近のスーパースポーツバイクでは殆ど採用されなくなりました。それは何故か?

 いろいろ原因はあるのですが、ユーザー側が意識する点としては2つ。1つはステアリング動作の「重さ」です。いや、もちろん、きちんと給脂/トルク管理されているテーパーローラーなら、致命的なネガが出る程ステアリングが重くなる事はないのですが、ボールベアリングの「点」で支える動きとは構造からして違いますし、位置決めの為にかなり大きなトルクを必要とするため、両者を比較すると明らかに動きが重いのです。ステアリングの初期動作が重いってことは「曲がらない」と同じ意味になってしまいますね。

 で、もう1つが「加工精度」です。まぁ、これはユーザー側がどうこう出来るレベルの話では無くなりますが。(笑)

 やっつけで作った図ですのでかなりいい加減ですが、テーパーローラーを採用しているステアリングステムの構造はおおまかに描くとこんな感じです。構造上、テーパーローラーベアリングは左右方向にガタが出ないのですが、これは言い換えると、ステム側の加工精度が非常に要求されるのと同じ事になります。(日本のベアリング会社は非常に優秀ですので、ベアリング側の加工精度が問題となる事はまずありません)

 日本の誇る二輪メーカーの1つであるスズキの加工精度がそれほど酷いものであるとも思えないのですが、ベアリングの中心とステムの空洞の中心が完全に同軸上に無いと.......。スムーズにハンドルが切れないんですね。(図では2次元の平面ですが、実物は3次元です。加工の難しさが....想像出来ますね。ベアリングサイズが上下で違う事でも分かる通り、ステムの空洞は完全な円柱ではありません。ま、所詮は「穴」なので比較的センターは出しやすいんでしょうけど>ステム加工時。)

 ここらあたりも原因となって、近ごろのスーパースポーツバイクのステアリングにはテーパーローラーは使われなくなりました。そうです。ボールベアリングの良さが再び見直されてきているのです。それも、昔ながらのバラバラになるベアリングではなく、「ハイコンプライアンス」タイプと呼ばれている、樹脂製のインナーレースにボールが固定されているタイプです。ベアリングのサイズは規格がありますので、外径と内径が判明し、該当するサイズのベアリングがあればそのまま入れ替える事が出来ます。R750Lのベアリングサイズは、上が47/25mm、下が55/30mmで、これに合致するハイコンプライアンスベアリングを探せばいいんですね。

 なんとか無事に手配も終わり(ベアリング総合カタログが置いてあるバイク屋もそう多くは無いだろうなぁ)、あとは装着するだけ。残念ながらパーツ到着時にデジカメを用意していなかったので画像はなしです。

 この作業も本当は自分でやろうと思っていたのですが、特殊工具が必要(まぁ、タガネでぶっ叩くという方法もあるんだけど)ということもあり、作業はバイク屋さんにお任せです。ベアリングの他にダストシールなどの諸々のパーツも取り寄せ、パーツ代は合計4000円程。それに対して工賃は........パーツ代の約3倍。(泣)少しでも安くあげようとカウルを外して入庫したんだけど、そんなのは焼け石に水でした。(笑)ま、確かに手間なのは理解できるし、相場と比較してもかなりのバーゲンプライスであるのは事実ですので請求金額に文句は何もありません。ただ、「金かかるなぁ......」と泣くのみです。「完調」なんて目指すもんじゃないね。(笑)あ、飛び込みで持ち込んでもこの値段でやってもらえる保証は何もありませんので悪しからず。

 肝心の効果なのですが、とにかく動きが軽い。この一言に尽きます。勿論、新品に交換した事による動きの軽さもあると思いますけどね。コースを攻め込んだあとにでも再度レポートするつもりです。


【00.06.25】

 何の問題もなかったように感じていたステムベアリング交換ですが、60〜80km/h程度で走行中にヘッドパイプを中心に1秒間に8回位の「ブルブル」とした短い周期のハンドルの振れが発生するようになっていました。(泣)蛇行するとかそういう症状はないのですが、スロットルを戻した状態で手放しするとバーエンドで1cmぐらい震えており、かなり不快です。(普通にグリップを握っていれば振れは殆ど感じない)

 ちょっと原因が掴めないのですが、作業不良によるステムガタって雰囲気ではないので余計に困ってます。それ以外の速度域では全く症状が出ないのも不思議な感じがします。まるで何かに「共振」しているような感じ。なんとなく「タイヤ(バランス)」が原因っぽいのですが、交換前にはこれほど酷い振れじゃなかったしなぁ.....。(困)

 でも今回のベアリング交換実施の直接の原因も「蛇行」だったし、時期的に最後のタイヤ交換以降に顕著に出たような気もするので、ハズレタイヤだったのかもしれません。懸賞の貰いもの(検品で跳ねたのを懸賞に回したとか......はさすがにDL社はそんなことしねぇか)だしね。要はなんらかの原因で「うねる」動きがタイヤ周りから発生していて、交換前の動きが悪かったベアリングでは「蛇行」として、交換後の動きのいいベアリングでは「ハンドルの振れ」として現れているのではないか.......ってな感じ。バランサーウェイトが飛んだのかなぁ.....。謎だ。

 もう少し試行錯誤してみる予定です。交換するにしても、タイヤ、高いからなぁ.....。


【00.06.27】

 念のためにステムの増し締め、緩めとも試しましたが振れの発生状況に変化無し。どのギアでも発生し、クラッチを切っての慣性走行でも、ニュートラルに入れての空走でも同じなのでやっぱタイヤかなぁ......。

 ちょっとバランスを再度取る予定ですが、これで納まらなかったらちょっと哀しいです、ハイ。


【00.07.02】

 スタティックではありますがホイールバランスを取り直したのですが、結果は........。(泣)やっぱタイヤ交換しないとダメなのかも。とりあえず取り外していたステダンを付けてみて様子を見る事にします。


【00.07.09】

 対処療法ですが、ステダンを戻してみました。オイルが一部抜けているのであんまり気が進まなかったんですが、ハンドルが震えるよりはマシだろうと。で、予想通りというか、振れは止まってます。まぁ、動作原理からして当然の結果なのですが。が、やはり微速での切り返しはかなり重たくなってしまいました。こりゃジムで使うにはしんどいなぁ.....。

 タイヤを交換する事で症状が納まればまた取り外すつもりなのですが、今後の事を考えてフォークにはブラケットを残す事にしました。(笑)ステダンもいい奴を物色しないとなぁ.....。R750のステダンはストロークが160mm近くあるので、結構高いんですよ。(泣)


【2000.07.23】

 ステダンを付けて初めてコース走行をしましたが、結果は散々。(泣)なんつ〜か、切り返しがしんどすぎます。この日の走行でタイヤを使い切る予定だったのですが、暑さもあって実現ならず。あと1走行ぐらい使えそうだったのですが、車検もあるので、思い切って前後交換する決意ができました。

 銘柄などはこちらを参照していただくとして、交換後は上記ハンドルの振れは「ピタリ」と無くなりました。前後同時交換なのでどっちのタイヤが悪かったのかは切り分けできませんでしたが、とりあえずはこれで一安心です。

 が、念のため、フォークにはステダンのブラケットを残してあります。(ボディーは速攻撤収済み)








Top About New GSX-R R750L R750K4 Life ETC Silly Link BBS



Copyright © 1999-2009 Tatsuwo. All rights reserved.