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●ノーマルリアサスのオイル交換

【05.11.19】


バラすだけなら簡単なんだけどなぁ…

 ってことで、換装後、いったいどれだけ走ったのか自分でも分からないPenskeのリアサスペンション。(笑)この春にスプリングのレートを変更し、それなり満足のいく使用感にはなっているのですが、適切なOH時期はとっくに過ぎている事は自明。(汗)

 私のPenskeは個人輸入なので、パーツリスト付きの詳細なリペアマニュアルも付属しておりましたから、「ここは一丁、自分でOHでも…」なぁんて気になったのですが、初めての作業をいきなり本番パーツで行なうのはちと不安が残ります。「そういや譲ってもらった国内モデルのリアサスがあったなぁ… 非分解だけどオイル交換の練習(汗)位なら出来るだろ」っと、いそいそとネットで先達達の状況を調べ、スズキ純正のフォークオイルを手配。折しもBBSで同じGSX-R750L(赤白)にお乗りの方がリアサスを探していらっしゃるようなので、完成後はその方にお譲りする事となりました。もとがご好意で無償で譲っていただいたサスなので、今回はオイルなどの消耗品の代金だけでお譲りする事としました。

 レポが長くなりそうなので、最初に結論から書きますと、ダンパーをバラさない単なるオイル交換であれば、別体リザーバ式になった純正サスなら、フロントフォークのオイル交換よりも簡単に行なえます。但し、注意点が少しばかり。

 バネの反発力を舐めてはいけません 縮んだバネは見かけからは想像もつかない程のエネルギーを蓄えています。リアが1本のモノサスの場合、モデルによっては8〜12kg/mmものバネレートであるケースもあります。イニシャルがたった10mm掛かっているだけでも、80〜120kgものエネルギーを蓄えている訳ですから、作業をミスってバネのストッパーが外れてしまうと、蓄えられたエネルギーは一気に放出されます。指を挟んだりすると恐らく簡単に潰れてしまいますので、バネをいじる際は、作業環境(周りに割れ物や子供が居ないか)などを含め、特に慎重に作業を進めてください。

 88以前のリアサスペンション RK以降のリザーバが付いたリアサスは、いわゆるド・カルボンタイプ(ロッドが下から入る)ですが、それ以前のモデルは複筒式(ロッドが上から入る)と呼ばれるタイプです。このタイプのサスペンションは個人レベルでのオイル交換はまず不可能です。



 ってことで、一連の作業風景など。

 まず最初に、リザーバタンク後端のエアバルブのキャップを外し、タイヤのムシ抜きでタンク内のガスを抜きます。持ってなければマイナスドライバーなどで押せばプシュっと音をたててすぐに抜けます。抜く前にエアゲージで圧を計測したところ、最初は5kg/cm、2回目は4kg/cmっと、ゲージを放すたびにプシュっという音とともに圧が…(汗) タイヤのように容積が無いので、かなりシビアですね…
 バネを外す為にイニシャルを掛けているダブルナットを限界まで緩めますが、リザーバタンクへと伸びるホースのバンジョーにあたってこれ以上緩みません。

 どうせオイルを交換しますので、このボルト(14mmBOX)を緩め、本体とタンクを分離します。

 作業後に気がついたんですが、イニシャルが掛かった状態の時に、丈夫な針金でバネの巻き部分を10箇所程縛っておけば、サス単体でアジャスタを緩めるのも、また、最後にスプリングをセットする時も楽になると思います。(はよ気づけよ…) ただ、繰り返しになりますが、針金などで縮んだ状態を維持しているスプリングには非常に大きなエネルギーが蓄えられていますので、保管や移動時の取り扱いには十分注意してください

 ボディーのホース連結穴から、内部のオイルを抜きます。ダンパ単体になってますので、ロッドは手で簡単に押し引き出来ます。

 ジュクジュク音が収まり、オイルがある程度抜けたら、パーツクリーナやCRC、灯油などを内部に吹き込み、フラッシングした後に細かいスラッジを排出します。

 手が油まみれだったんで写真が組み立て時の物ですが、リザーバ後端外周にCRCなどを吹きかけ、適当なサイズのソケットを当てて軽くプラハンで叩くとエンドキャップがリザーバ内に落ち込みますので、溝にはまっているCリングをマイナスドライバーなどでコジって外し、その後、エアバルブ部分をプライヤで掴んで引き抜きます。

 タンク内にも古いオイルが残ってますのでバットに排出し、内部をパーツクリーナで清掃します。せっかくなのでボディー側のホース端からクリーナが出てくる位まで吹いた方がイイかも。


 この後はオイルを満たして、リザーバにエアを入れ、バネをセットして完成です… って書くと簡単なんだけどさ。(笑)

 今回手配したオイルはスズキ純正のG5オイルが1Lです。余る事ははじめから分かっているんですが、近々実施予定のPenskeのOHにも必要なので。

 ちなみに色は、YAMAHA同様、赤色でした。

 件のオイルを適当なオイル差しに移し、ボディーの連結穴から注いでゆきます。
  •  ロッドを縮めた状態でオイルを入れ、少しずつロッドを引く
  •  減った分だけ注ぐ
のを基本とし、ボディー半分程がオイルで満たされた辺り(見えないので勘です)でロッドをフルに伸ばして直立状態で暫く放置、ボディをプラハンで叩いてエアを乖離させ、また続きに取りかかるって感じです。最終的にエアはタンク側で抜きまが、ボディー単体でなるべくエアを抜いておくのが泥沼にはまらないコツだと思います。また、後半になってからフルストロークするとオイルが噴出しますので注意。

 ホースとの連結直前は、ロッドがフルに伸びた状態且つ連結穴上端までオイルが満たされている状態です。

 前述の状態で、ボディーとホースを再度連結します。バンジョーを締める時に多少オイルが溢れる位で丁度イイかと。

 連結出来れば、リザーバタンクを本体よりも高い位置でバイス等に固定し、オイルを少し注ぎます。ホースを揺らしたりして、ゆっくりとオイルをホース内に導きます。圧側ダンパーは一杯まで緩めておくとイイでしょう。

 セット出来たら、伸びているダンパーロッドを出来るだけ勢いよく押して一気に縮め、ボディーやホース内に残っているエアをゴボゴボとタンク側に押し出します。Φ10mmの長手のボルトやドライバなどを取り付け穴に通せばハンドル代わりになります。

 ロッドが一番縮んだ状態でホースなどを揺すって、さらにエアをタンク側に導きます。

 泡が消えたらロッドを引っ張ってフルに伸ばし、再度繰り返します。タンクに圧が掛かってない=ロッドは引っ張らないと伸びてきません(笑) このとき、伸び側ダイヤルをいじって減衰力の変化を実感するのもイイかも。ただ、作業そのものは一番減衰が弱い位置(1番)で行なうのが圧倒的に楽です。

 とにかくこのエア抜きが一番肝要な部分ですので、ブレーキのエア抜きなどの知識をフルに活かして、納得のいくまで繰り返してください。

 ストローク時のグジュグジュ音が消え、エアが出なくなったらリザーバタンクを組み立てます。ダンパのロッドは一番伸ばした状態にしておきます

 リザーバ内に半分程オイルを満たし、プラダと呼ばれる黒いゴム製の空気室をグイッと押し込みます。オイルが溢れてきます(エアの侵入をオイルで防いでいる)ので、タンクにウェスを巻いて、慎重且つ大胆に。

 同じ写真の使い回しですが、最後はソケットを当ててリングがギリギリ入る辺りまでプラハンで少しずつ押し込み、リングをはめます。
 本来はここで窒素ガスの封入…なんですが、そんな物は無いので(汗)、愛用の足踏みポンプでエアを入れます。(タンクのバルブはタイヤのバルブと同じ規格です)

 先ほどソケットで押し込んだままのタンクの蓋が、加圧によってカチッと音をたてて位置決めされた事を確認したら、あとはひたすら踏むだけ。とはいってもタイヤと比較するととても小さなタンクなので、10回も踏めば全体重をかけても踏めなくなります。(笑)

 あてにはなりませんが、付属のゲージが振り切った辺り(9kg/cm位?)まで加圧し、ポンプを踏んだ状態で、バルブから口金を外します。ゲージを当てるだけでどんどん減圧されますんで、納得がいくまで繰り返してください。

 きちんと内圧が上がれば、押したロッドは自然に伸びるようになります。4段階のダイヤル位置で伸びるスピードは全然違いますよ。


 分離加圧式のリアサスペンション(ド・カルボン式)はストロークによってボディー内部に入り込んだダンパロッドの体積変化を、前述の加圧された空気袋(プラダ)を縮める事で解決しています。ですので、プラダを挿入する際には必ず「ロッドが一番伸びている状態」で行なってください

 自分で使う予定なら、このままバネを組んで終了!って感じなのですが、今回は人にお譲りする予定なので、ボロボロに砕けてしまったバンプラバーをどうにか再生しなければなりません。そこで…
 見るも無惨なバンプラバー(汗)

 オイル交換前の確認時に既に割れていたので、オイル交換せずにお譲りするにも気がひける状態です。

 が、バンプラバーなんて単品では取れませんので、なんらかの代替品を用意する必要があります。そこで…

 某掲示板のホームセンタースレッドで一世を風靡した(笑)通称「チクワスポンジ」のご登場です。(汗) 内径15mm、全長120mmで94円でした。これを適当な長さに切り、縦に1箇所切れ目を入れてロッドに通し、切れ目をボンドで再接着。

 ノギスで測るのを忘れたのですが、変にユルユルでもありませんので、ノーマルサスのロッドはΦ14〜15mm程度だと思います。

 写真が暗くて分かり辛いですが、無事にセット完了です。

 ちなみに、写真では既にスプリングがセットされてますが、スプリングセット後にはバンプラバーの交換は出来ません。

 っつか、スプリングの傷が…(汗)


 で、スプリングをセットするとこんな感じです。
 ざっと組み上げたノーマルリアサス。この距離だと比較的奇麗ですね。(笑)

 ノーマルスプリングの自由長は225mmで、国内標準から2mm程イニシャルを掛けた、194mmにスプリングをセットして今回は完了としました。

 スプリング内径は約55mmでしたので、スプリング換装などをご計画の方はご参考にしてください。


 え?肝心のスプリングセット手順が無い?

 いや、掲載しようかどうか今もかなり悩んでいるんですが、やはり、しっかりした環境や道具/工具を使って作業しないと、マジ危険な作業(今回も一度スプリングが跳ねた)なので… まぁ、ご想像通り、工事現場の足場用のターンバックルを使ってスプリングを縮めただけなんですけどね。(汗)

 ただ、今回の分解レポにも書きましたが、イニシャルをある程度掛けた状態で、丈夫な針金でスプリングの巻線を10箇所以上しっかりと縛っておけば、それほど苦労する事無くスプリングシートは填められると思います。ボディに対してスプリングの自由長がもっと短いサスペンションなら、それだけでホースを分離せずにスプリングを外せるかもしれません。
 こいつが問題のスプリングシート。左側の部品にバネを嵌めて一緒に縮め、出来たスペースに右側の2分割の部品を差し込んでスプリングを固定=完成となります。サスによっては2分割ではなく、C型の部品だったりします。

 ちなみに、左側の筒は鉄製、右側の分割シートはアルミ製です。スズキらしい微妙なコスト配分(メーカーはShowa)だ(笑)


 Penskeのようにイニシャルアジャスタを緩めるだけでスプリングがフリーになれば最高なんですけどね。

 そうそう、タンクに詰めるのは窒素じゃなくてイイの?って疑問は当然出て来ると思います(汗)が、空気の約8割は窒素ですし、タンクから圧が抜けたままよりは、例えそれが排気ガスで汚れた大阪の空気でも、規定圧一杯まで入っていた方が10倍(随分控えめ(笑))マシだと個人的には思います。リザーバに沈める際、プラダには大気圧の空気が元々入ってます(オイルは非圧縮ですので、プラダをしぼめて挿入するとロッドがストローク出来ません)しね。また、前述のようにバルブはタイヤのエアバルブと同じ規格ですので、空気入れでタンクに加圧するだけでもコシはかなり違ってきます。(実はPenskeで先行実験済み) 車載状態での加圧の際は、ジャッキやセンタースタンドなどで後輪を上げ、サスを自由長一杯まで伸ばした状態で行なってください。サイドスタンドやレーシングスタンド状態では、サスに車重が掛かって空気入れやコンプレッサーでは上手く加圧出来ません。(これも実証済み(汗))

 ま、何かのご参考になれば。



 偉大な先達達:
どうもありがとうございました。








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