Penskeのリアショックのオイル漏れを発見し、国内GSX-R750Lの純正リアサスに交換して早1年。その間Penskeはずっと段ボールに寝かせたままだったのですが、タイヤが新品に変わった事もあり、なんとなく再度装着してみたくなってきました。購入時、本体と一緒に詳細なマニュアル兼パーツリストが同梱されており、それによるとシャフト部分のオイル漏れは「Shaft seal o-ring or wiper needs replacing」とあり、問題のOリングの品番は6001-26だそうです。っつか、ここまで詳細なマニュアルが付属してくるって事は、ひょっとしてQuantamみたいにユーザでリペア出来るんじゃないの? Oリングなんて汎用代用品が幾らでもあるんだし…
なんて思い始めると止まらない悪い癖を全開で発揮し(笑)、いそいそとPenskeを箱から取り出します。で、ざっと分解したのが一番上の写真。イニシャルアジャスタを限界まで緩めるとスプリングが完全にフリーになるので、ハイトアジャスタを外し、Cリングを外し、スプリングシートを抜き取った際のスナップです。ここまでは特種工具は一切必要無しです。
で、問題のオイル漏れなんですが、どうもそれほど酷く漏れている様子がないので、パーツクリーナを駆使してバンプラバーやシャフト周りを入念に脱脂。縫い針でダストシール(パーツリストではwiper)のリップをめくって、ロッドとの隙間にパーツクリーナのノズルを突っ込み、Oリング辺りをめがけて入念に吹いて清掃してみます。余談ですが、フロントフォークにもこの技は結構効果的です。雨でも走る人はこの部分に細かい砂粒が入り込む事が多いようです。
|
矢印部分がWiperと呼ばれているパーツ。要するにダストシールですね。この奥にオイル漏れ防止のOリングがあるはずなんですが、どちらのパーツもこのままでは手前には抜けませんので交換するには金色の蓋を外す必要があります。簡単な特種工具(クラッチホルダのようなもの)を自作すれば良さそうなのですが… |
意外とあっさり分解できそうな構造なので、特種工具を自作してOリングの交換までしてしまおうか…っと半ば本気で思い始めたのですが、一服しながらマニュアルを眺めていて、このPenskeにはリザーバタンクが付いている事に気がつきます。このリザーバタンク内には窒素ガスが高圧封入されているのですが、この蓋を外してロッドを抜くとリザーバタンク内のガス圧でオイルが流出してしまう事に思い至ります。まぁ、こういったサスペンションの作動油なんてどうにでもなるといえばどうにでもなりそうですが、リザーバのガスを抜かないとオイルの再封入にかなり手こずりそうなのは容易に想像がつきますし、オイル漏れが直ってもダンパにエアを噛ませちゃ本末転倒ですので、30分程熟考の末、今回は断念しました。←賢明(笑)
せっかくですのでボディーやロッド、スプリングにバンプラバーを入念に磨き上げ、体重を掛けてのダンパ単体でオイル漏れチェックのストロークテストを40回程繰り替えします。最初、押し込んだロッドがいやにゆっくりと戻ってくるのでリザーバのガス抜け(ステアリングダンパとは違い、封入ガス圧でロッドは最長位置まで自然に戻ります。フォークのエアバネみたいなものですね。)か?っとかなり焦りましたが、伸び側ダンパを緩めると随分スムースに戻ってきて一安心。スプリングが付いているとなかなか確かめられないのですが、オイル漏れチェックもかねて合計30段の伸び側ダンパのクリックを全て試してみると最弱と最強ではロッドの戻りが全然違いますね。全屈→全伸までの時間比で5倍は違うかも。まぁ何にしても調整機構がきちんと機能している事も確認出来ましたので一安心ではあります。余談ですが、フルストロークさせるにはかなり力一杯荷重を掛けないといけないので結構疲れます。(笑)
で、肝心のオイル漏れなのですが、単体でのストロークテストでは綺麗に止まっているように見えます。う〜ん、ひょっとして清掃で直っちゃうのか? それならとても嬉しいのですけど、実走行時に掛かる負荷やストローク回数は単体のストロークテストの比ではありませんので、実際の所は再度装着してみないと不明です。ま、片手間作業の清掃で直るならそれに越した事はないし、NGならすっぱりと諦めて、当初の予定通りO/Hに出せばイイだけの話なのですけどね。(笑) セッティングデータもすっかり忘れ去っていますので、とりあえずスプリングセット長を160mm、伸び側ダンパを最弱から17段目にしておきました。
そうそう、純正を含め、リアサスのオーバーホールを手がけているショップさんはこの2〜3年で大幅に増えましたね。こことかここなど結構安いですし。←そのお金も捻出出来ない奴が偉そうに…(泣)
嬉しがりな性格は止められず(笑)、スクール前夜にバタバタと突貫工事で再換装を完了し、本日のスクールで一日中走ってみました。
肝心の結果は…
どうも漏れは止まったようです(汗 この1年はなんだったんだ…
|
スクール終了後のリアサス辺り。車体に組んじゃうとズームのないおんぼろデジカメではシャフト周りが上手く写せなかったので、本日、疲れた体に鞭打って再度車体から取り外し、シャフト周りの状況を確認しました。 サーキットまでの道中、採石場の横のかなりダスティー&ウェットパッチありな道路も通るのですが、シャフトはピカピカのままで埃などが付着している様子も無いので、どうもオイル漏れは止まっているようです。 水たまりなども走行したのですが、スプリングの周囲にわずかに泥汚れが付着している程度にしか汚れていませんでしたので、リアのインナーフェンダーやスイングアーム下の小さな泥よけはサスやリンク周りの汚れ防止にかなり効果的なんですね。 |
|
バンプラバー付近の様子。フルストロークするとこの近辺までロッドがストロークするのですが、オイルの丸い輪も付いておらず、やはり奇跡的にオイル漏れは止まっているようです。 |
で、久々にPenskeを装着しての走行インプレなのですが、やっぱ、サイドスタンド駐車時にバイクが傾き過ぎ!(笑)です。
|
サスの自由長が10mmも長いので、ノーマルのサスに比べると駐車時の傾斜がかなり大きくなります。単独駐車ではそれほど気になりませんが、駐輪場などでは隣のオートバイに気を遣いますね。 |
けど、これまでのデータのお陰か、乗車時の車両姿勢はそれ程変化していないようで、極端にケツ上がりな乗り味ではありませんでした。減衰などをいじっている暇は全くなかったので、組み付け時のアジャスト位置のままで1日走りましたが、なんていえばイイのかな…
この1年間使っていた国内モデルの純正リアサスも感触は悪く無かったですし、ダンパも恐らく抜けていない比較的良好なコンディションだったと思うのですが、こうして久しぶりにリプレイスサスを装着すると、パソコン画面を256カラーから32000色カラーに切り替えた様な違いを感じました。無理矢理格好良く表現すれば「情報量が増えた」って事なのですが、決してうるさい種類の情報増では無く、「サスが付いていることを忘れる」っとでも言えばイイのかな… リアタイヤの状態などを全く気にすること無く、スロットル操作やブレーキング、ラインの組立など、いわゆるライディングのみに集中することが出来るようになりました。ま、これは前後とも新品タイヤになったって事も大きく影響してそうですけれど。
ってことで、何故か清掃で止まったオイル漏れですが、新品からかれこれ2年、距離にして25000kmをノーメンテナンスで使用している事実に変わりはありませんので(笑)、今度漏れて来たら素直にO/Hに出すことでしょう。 逆説的にいえば、半年周期ぐらいでサスを車体から取り外し、シール周りを綺麗に洗浄すれば、かなり長持ちするのかも知れませんね。油冷後期のGSX-Rは比較的簡単にリアサスが取り外せますので、手間という程の手間ではありませんし。
Copyright © 1999-2009 Tatsuwo. All rights reserved.