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●リアブレーキのリジッド化


GSX-R750Tのトルクロッド。左がキャリパー側です。

 オートバイを巡る「最新技術」には実に様々な物がありますが、各種デバイスやサスペンションなども流行り廃りとでもいいますか、じっくり観察してみると実に興味深い変遷を繰り返す傾向があります。一時期もてはやされたモノサスが廃れ、コンベンショナルな二本サスに流れたのは技術的な裏付けはそれ程ない単なる懐古趣味だと思いますけど、進歩が止ったかに見えたモノサス自体も、80年代初頭に各メーカー入り乱れて開発してきたモノクロスだのフルフローターだのユニトラックだのプロリンクだのが、結局クロスライセンス等で解決したのか、各社で多少リンクの取り回しが違う程度の構造に落ち着いたかに見えました。が、昨年末にWGPの990cc4スト車両混走が発表された際にホンダが採用したユニットプロリンク。これはまさしくスズキが切り捨てた初代フルフローターそのもの(厳密にはユニットプロリンクはボトムリンクなのでちょっと違う)だったりしますし、R1000に採用された排気デバイスはヤマハが長年培ってきたEXUPそのものだったりします。

 80年代中頃からのレーサーレプリカブーム当時は、そういった様々な技術的トライがダイレクトに市販車に反映されていた時代であり、今回取り上げるリアブレーキのフローティング構造も「当時の先端技術」の一例です。スイングアームと平行に走るトルクロッドは高性能の証であるかのように、90年前後は猫も杓子も「フローティング」ってな具合で、各ショップのデモカーも軒並みフローティングに改造されておりましたし、ボルトオンキットもかなり発売されていました。

 両者の動作原理の詳しい説明は装着が完了次第、動作写真を交えてレポートする予定ですが、このリアブレーキのフローティングはレース現場においてもさほどメリットがなかったのか、昨今のレーサーはその殆どが昔ながらのいわゆる「リジッド構造」でリアブレーキをマウントしています。まぁこの辺は技術が先だったのか、乗り方(リアブレーキの使い方)の変化が先だったのか詳細は不明ですが、減速目的ではなく、「車体姿勢を制御する」という、リアブレーキに求められる最近の要求に、よりダイレクトに応えられる事が、リジッド→フローティングを経て再びリジッドが見直されるきっかけとなったようです。まぁこの手の技術は巡り巡りますので、またいつの日かフローティングマウントが見直される日が来るやも知れません。

 …随分前置きが長くなりましたが、構造的にはリアブレーキのトルクロッドをフレームに繋ぐ(フローティング)か、スイングアームに繋ぐか(リジッド)の違いだけ(トルクロッドを使わないリジッドもあります)ですので、改造自体は比較的簡単に出来そうです。お金もないので、なるべく安く済む方法(笑)で考えているのですが、久々というか、ひょっとして初めての比較的大がかりな「改造」ですので、順次レポートしていこうと思います。 一応維持コンセプト通り、その気になればノーマルに準じる形に戻せるのも大きなメリットですしね。

 必要となるのは、

  1. 適当なトルクロッド(今回は96以降のGSX-R750やTL1000S等に使われているアルミ製の純正部品)
  2. スイングアームに溶接するトルクロッドマウントボス(アルミ板材からの切り出し)
  3. アルミ溶接を請け負ってくれる工場

です。3番が一番悩ましいのですが、最悪SBS経由で外注に出せるので、まぁなんとかなるでしょ。

 同種の計画を立てている方々の参考になればいいのですが、必要となるトルクロッドはスイングアーム形状やリアホイールのサイズによっても違うので車種に応じた適切なチョイスが必要と思われます。私のR750Lの場合だとホイールサイズ的には今回チョイスしたGSX-R用以外にGSF/イナズマ系のトルクロッド(今回のGSX-R用とほぼ同形状。こっちは黒塗りの鉄製で単価がかなり安い。)も選択肢に入りますが、Bandit250などの軽量車のトルクロッドは強度的な面での不安も勿論ですが、ロッドに逃げがないストレート構造ですので、恐らくタイヤに干渉します。


【02.12.07】

 まずは採寸:

 GSX-R750T用トルクロッド(64310-33E00 多分@2320円(税抜き))

  全長(Eye to Eye):255mm
  キャリパマウント側内幅:16.5mm
  スイングアームマウント側内幅:24mm
  ロッドオフセット:約10mm
  キャリパマウント側ボルト穴:10mm
  スイングアームマウント側ボルト穴:12mm/8mm

ってな感じです。スイングアームマウント側のボルトはまだ届いてないのですが、恐らく特種ボルトで、マウントボスには12mmの穴を開けなければNGそうです。で、同じようなトキコのキャリパなので、キャリパ側はボルトオンかと思いきや、フローティング対応であるL型のリアキャリパのロッドマウントカラーは幅が1mm程広く、また、締結ボルトのサイズが8mmですので、幅を詰めてもトルクロッドのマウント穴に若干の遊びが出来てしまいます。今回は暫くそのまま乗っていたのですが、最終的にハンドドリルでカラーの内径を8.5mm→9mm→9.5mm→10mmと広げました。いくらした穴があいているとはいえ、ハンドドリルで垂直に穴を広げるのはかなり難しいですから(実際、少し偏芯してしまった)、加工するならボール盤で行った方が良いでしょう。カラーを自作出来る方は、外径14mm、内径10mm、幅17mmのカラーを作り、トルクロッドのキャリパーマウント側の内幅をヤスリなどで少し広げればすんなりとマウント出来ると思います。

 キャリパー側のマウントさえクリアできればマウントボスはすんなりスイングアームに全面溶接出来そうで、10mmのオフセットもまさにジャストフィット、タイヤとのクリアランスも十分(つか、今より広がる)で、マフラーとの干渉もなさそうです。

 遅れて届いたスイングアーム側のトルクロッドマウントボルト。首下はφ12mmですが、途中から8mmに絞られています。

 最終的に、ネジ部分が長過ぎてマフラーと干渉しそうだったので、6mm程サンダーでネジ部のリーチを詰めました。(ナットはロックナットなので脱落の心配はそれほどありません)


【02.12.14】

 トルクロッドマウントの切り出し

 リジッド化するには、上記トルクロッドをスイングアームにマウントする必要があるので、新たにマウント用のボスを製作し、スイングアームに溶接する必要があります。最近はトーチで使えるアルミ用のハンダ(ロウ付け)もホームセンターなどに並んでいますが、カウルステーなどならまだしも、ブレーキのマウントにはちょっと怖くて使えないですね。1mm2あたり40kg程度の引っぱり強度はあるそうですけど。

 まぁ、あれこれ悩んでもしかたがないので、簡単な図面を作り、材料を探しに東急ハンズに出かけます。

 

 T=24mm

 厚紙に何度か下絵を描いては切り抜き、トルクロッドにあわせてみました。

 リジッドにするとスイングアーム/リアキャリパ、トルクロッドの位置関係はアーム角度に関わらず一定になるので、クリアランスにはそれほど気を遣わなくても大丈夫そうですが、どれぐらい強度を見積もればいいのかさっぱり分からないので、いろんな実車をチェックして、最後は、「こんなもんか?」で決定しました。←いい加減だな(笑)

 万が一、このコンテンツを参考になさる場合は、自己責任でお願い致します。

 なお、まん中のボルト穴はφ12.2mm程度のほうが良かったかも知れません。

 

 で、意気揚々と東急ハンズ心斎橋店6階の素材売場に向かったのですが… 残念ながらアルミ板材はT=20mmまでしかありませんでした。(泣) それほど急ぎではないので、通販サイトで購入も考えたのですが、足らない厚みはM12ボルト用のワッシャで調整する事にし、50mm×50mm×20mmのアルミブロックを購入。単価は700円でした。

 ここのハンズは直線切りや穴あけなら金属素材も請け負ってくれるので、先の下絵をもとに加工を依頼。その場ですぐ出来るのかと思ったら金属加工は時間が少し必要とのことだったので、後日引き取りに行くことにしました。ちなみにT=10mm以上のアルミ板の加工料金は、直線カットが長さに関わらず一箇所につき500円、穴あけが同じく一箇所につき80円だそうです。今回の形を切り出すには直線カットを3回しないといけないので、合計1580円になりました。なんだかなぁ… 工房が欲しくなりますね。(笑)


【02.12.18】

 ハンズで切り出してもらったマウントボス。削り出しとはほど遠いまさに「切り出し」って感じです。(笑)

 現物は既に溶接に出して手元にないのですが、ざっとエッジを面取りをして重さを量ると約50gでした。

 トルクロッドにあてがうとこんな感じ。かなりクリアランスが大きすぎますね。24mm厚の板材があればジャストフィットなんですが。

 で、2mm厚のステンワッシャを左右に噛ませるとこんな感じ。丁度良い感じですね。

 トルクロッド+ワッシャ2枚+ボルト+ナットで約175gですので、ボスを含めると合計225gになります。

 さて、部品は揃ったのであとは溶接を請け負ってくれるところを探すだけなのですが、なかなか近場でアルミ溶接を請け負ってくれるところはありません。事前に下見した際にいい感じだった溶接屋さんにお邪魔したら「このところの不況で年に3回も仕事がないアルミはもうやめたんだよねぇ…」などとこぼされました。(泣) 慌てて電話帳を引っぱり出し、チャリンコで行ける範囲の溶接屋さんを片っ端から当たりましたが全滅… 個人依頼の小口溶接ですので、こちらもあまり強く頼めませんので、いつものごとく困った時のSBS頼みとなりました。初めからそうしとけよな…>俺 いつも泣きついてごめんなさい>店長

 SBSに依頼する(外注に出す)となると、スイングアームとトルクロッドマウントを外してお店まで持っていく必要があります。過去のチョンボ(マフラー取付ミスでスイングアームが干渉して少し削れた)で傷物にしてしまったスペアのスイングアームを久々に取り出し、付け替えます。歳をとったとはいえ、学習能力は少しは生きているのか(笑)、約1時間半で交換終了。例のごとく写真はありませんが、溶接が終わったスイングアームを組む時に同じ作業をもう一回しますので、その時にでも写真を交えて作業手順を追記する予定です。

 組み替えの際、存在を忘れていた様々な部品(スイングアームピボットシャフトやリンク類一式、リアのアクスルシャフトなど)が出てきたので、溶接完了までの待ち時間を利用して綺麗に磨き、今後はそちらを使う事にしました。でもきっと私の事ですから、「こんなもんでいいか…」っと中途半端な磨きになるんでしょうね(笑)

 スーパーカブのようにGSX-Rを使う男として有名な私ですので、いつものごとくリアシートに外したスイングアームを無造作にくくりつけ、無事、SBSまで辿り着きましたとさ。(笑)(さすがに今回はアルミの重量物だったのでシートにはダンボールを敷きました)

 リジッドとフローティングマウントによる違い

 こちらが85R750F〜91R750Mまで採用されていた、いわゆるフローティングマウントのリアキャリパーの動作概念図。

 図では約10度程スイングアームがストロークしていますが、スイングアームの角度に関わらずキャリパは地面に対してほぼ同じ角度を保っています。

 こちらは最近の機種で一般的なリジッドマウントのリアキャリパーの動作概念図。水冷初期のRはこれと同じようにアクスルに近い部分でキャリパを固定しています。

 フローティング動作図と同じく10度程スイングアームがスイングしてますが、'リジッド"の名の通り、スイングアームにキャリパが直にマウントされていますので、スイングアームの角度に合わせてキャリパの位置も変化します。(キャリパの向きの違いに注意)

 見た目の違いは上図のようにそれほど大きくないのですが、ブレーキを掛けた時のリア周りの挙動はかなり違ってきます。

 

 フローティングマウントにすると、回転するリアホイールをキャリパで止めようとした時のトルク反力(赤の矢印)はスイングアームには伝わらず、トルクロッドを通じてフレームに掛かります(フレームを引っ張る)。つまり、スイングアームは制動力から完全にフリーとなるので、基本的にリアブレーキを掛けても車両姿勢は変化せず、また、リアブレーキ作動中(ロック中も同じ)にギャップに乗ってもサスペンションは柔軟に追随する事が出来ます。厳密には減速Gを受け、フロントサスが縮みますので、若干ですが車両姿勢は変化(前が下がる)します。 フロントサスがリジッドでリアがスイングアーム構造の自転車であれば車両姿勢は殆ど変化しないはずです。

 今回とは逆に、リジッドマウントをフローティングマウントに改造する場合は、トルクロッドとスイングアームを平行になるように配置するともっとも効果が上がります。ただ、トルクロッドを通す位置にはセンタースタンドやらマフラーのパイプやらが配置されている事が普通ですので、完全に平行にするのは難しいかも知れません。(初期型RGV-γは完全に平行に配置されてましたが、油冷Rは完全に平行ではありません。)

 

 

 対してリジッドマウントでは、キャリパで生じたトルク反力によりアクスルを持ち上げ、ピボットを押し下げるような縦回転の力(赤い矢印)がスイングアームに掛かりますが、アームはピボットでフレームに固定されていますので、結果として制動力はスイングアームを押し上げる(サスを縮める)方向に作用します。(ちなみに、バック中にリアブレーキを踏むと逆方向に力が掛かります)

 図だけで単純に考えるとリアタイヤが宙に浮いてしまいますが、地球には重力がありますので、実際には結果としてリアの車高が下がります。減速Gでフロントも縮みますので、厳密には全体的に車高が下がります。

 但し、制動中は常にスイングアームが持ち上がろうとしていますから、制動中(ロック中も同じ)にギャップに乗ると跳ねる傾向にありますし、フローティングと比較するとロックしやすい傾向にもあります。(サスが縮む→レバー比でサスが硬くなる→ギャップに乗る→サスが追随出来ない→跳ねる→ホイルが浮く→ロックする)

 また、トルクロッドを介してスイングアームにリジッドマウントすれば、トルク反力の影響をテコの原理である程度調整(青の矢印)出来ます。(スイングアームピボット近くでマウントする程、フローティングマウントに近くなり、リアアクスル近くでマウントする程トルク反力による影響が大きくなります。)

 

 こうして比較してみるとそれぞれ一長一短といった特性ですが、今回あえてリジッドを目指す理由は、前述の通り、トルク反力による車両姿勢の変化を積極的にライディングに利用するという近代的なライディングの変化に対応したいからです。リアブレーキを積極的に使う現代的なライディングでは、制動時のギャップに対する追随性がメリットのフローティングマウントよりも、姿勢変化を誘発できるリジッドマウントのメリットの方が大きいと私には思われました。万が一フィーリングが合わなくても、トルクロッドを付け換えればフローティングに戻すのも容易ですし。←セコイ!

 ただ、物は言い様で、リジッドのメリットとして挙げた「姿勢変化を誘発できる」とは、裏を返せば「姿勢変化を誘発してしまう」とも言えますので、本来であればトルクロッドの長さをいろいろ調節して「丁度良い」位置を探す必要があるのかも知れません。スイングアームの長さやディスク径が同じではないので単純に考える事は出来ませんが、今回'96GSX-R750のトルクロッドを流用した背景には、前述のスイングアームに対するトルク反力をある程度実績のある数値に簡単に近づけられるメリットもあります。単にコストダウンと考えられなくもないですが、最近のスズキのスポーツバイクはほぼ同じような位置にトルクロッドをマウントしてます。


【02.12.26】

welded stay
スイングアームに溶接されたトルクロッドマウントボス

 てなことでSBS経由でお願いしておりましたマウントボスの溶接が仕上がりました。アルミ材には色々種類があり、溶接に向く/向かないがある(見た目ではほとんど分からない)のですが、変に融けたりする事もなく溶接できたそうです。伝聞情報ですが、ハンズで売られているアルミの厚板は5000番台(溶接に適する)らしいので、結果には納得ですね。溶接するにはスイングアームにかかっているアルマイトを剥ぐ必要があり、「かなり汚くなるかも」っと事前に聞かされていたのですが、ちょいと洗えば全然気にならないレベルです。やっぱプロの仕事は違うなぁ… お値段はいつものごとく内緒です。ほんと、助かります>店長

 そう何度も取り外す機会があるとは思えませんが、取付ボルトの12mm→8mmの部分に引っかかる事が予想されますので、クリアランス調節のワッシャはあらかじめマウントボスに接着しておきました。

 狭い部分の作業でつまらぬイライラはしたくありませんし。(笑)

 無意味に長くなりつつあるレポートですが(笑)、いよいよ大詰めです。

 スイングアームの取り外し/取付手順

 DIYでスイングアームまで外す人はあまり居ないかも知れませんが、何かの参考になれば。

 注意点としては、スイングアームやリンク周りは操安に関わる重要部材ですので、メーカー出荷状態では高トルクで締められている為、車体を安定させた状態で工具を使う事、また、組み付け時には締め忘れがない事を必ずチェックして下さい。今回はサイドスタンド+ジャッキの組み合わせでリヤ周りを浮かせますが、理想をいえばフレーム下左右にウマをかますか、フレームアップスタンドで浮かすのがいいと思います。リアタイヤが外れた状態で車体を倒すと一人ではどうする事も出来ませんし、なにより危険ですので。

 

 まずはアンダーカウル、マフラー、リアインナーフェンダー、スイングアーム下側の小さいフェンダーを外します。

 続いてトルクロッドを外すと矢印のナットに簡単にアクセスできますので、サイドスタンドのまま、2〜3回転緩めておきます。リンクの一番奥のナットはソケットが入りませんので、オフセットのメガネレンチが必要です。

 続いてリアタイヤのアクスルナット、スイングアームピボットのナット(左右)を緩めておきます。

 この後、フレーム右側にジャッキを噛ませてリアタイヤを浮かし、リアタイヤを取り外します。

 

 

 タイヤが外れたら、先ほど緩めたリアサスの下側ボルトとリンクのまん中のナットを外し、ボルトを引き抜きます。

 続いてスイングアームピボットのナットを完全に取り外し、右側からプラハンで叩き抜きます。

 するとスイングアームは完全にフリーになるので、少し後ろに引いてからピボット部を下に下げる感じでリンク及びリアサスを避けて取り外します。なお、完全ノーマル状態の場合は、リアキャリパー側でブレーキホースを外す必要があります

 その後、リンクの根元のナットを完全に取り外し、ボルトをフレーム左側のサービスホール(下段写真黄色の矢印)から抜き取ります

 各部ベアリングの洗浄やカラーのグリスアップを行い、再度この状態まで組み付けます。(今回は洗浄/グリスアップ済みスペアリンクAssyに入れ替えました)

 なお、リアサスは外さなくてもスイングアームは取り外し出来ます。

 本締めはタイヤが付いてから行いますので、ここでは仮組みでOkです。

 

 

 一人で作業するとかなり忙しい&手がグリスまみれになるので一番肝心な部分の写真がありませんが(笑)、基本的に取り外したのと逆の順序でスイングアームを組み立てます。

 まず、ピボットシャフトを通して、フレームとスイングアームを借り組みします。ピボット左右のダストシールが脱落してイライラすると思いますが(笑)、一番不安定な車体姿勢ですので、決して力技でコジったりしないようにしてください。

 各年式共通のTipsになりますが、ある程度ピボット位置が決まれば右側からTレンチなどを突っ込んでスイングアームの脱落を防止する事、90以降の油冷機では、クリアランス調整用のナット(黄色の矢印)を限界まで緩めて、差し込みスペースを確保する事がスイングアームをセットする時のコツといえばコツです。

 90以降の750/1100では写真左側の特種工具を使い、クリアランス調整用のナット(中段写真の黄色の矢印)を締め付け、ガタがなく且つスムーズにスイングアームが上下する位置を探します。89(RK含む)以前の油冷後期モデルではスイングアームベアリングのダストシール内部のシム枚数でフレームとのクリアランスを調節します。やみくもにナットを締め付けるとスイングアームが上下出来なくなりますので要注意です。

 位置が決まれば、スイングアームピボットのロックナット(下段写真黄色の矢印。上段右側の特種工具を使って締め付けます)とフレーム右側のピボットシャフトのナットをある程度締め付けておき、続いてリンクのロッドを組み立て、最後にリアサスのボルトを仮組みします。

 ジャッキで浮かせてますので、本締めすると倒すと危険ですから、この段階ではあくまで緩まない程度の仮締めです。

 

 

 続いてリアタイヤを仮組みします。(ノーマルのフローティングマウントの場合はトルクロッドは外しておきます。)

 タイヤが付けばジャッキは下ろせますので、不安定なジャッキはさっさと降ろしてしまいましょう。

 この後、レーシングスタンドで車体を直立させ、シートを何度も押して、各種リンク類のセンターを出し、スイングアームピボット、リンク奥のナット、まん中のナット、リアサスの下側ボルトの順で本締めします。

 ノーマルのフローティングマウントの場合はこの作業が終わってからトルクロッドを取り付けると工具のスペースが確保できます。

 あとはチェーンラインをしっかり出して、リアのアクスルを本締めし、外したフェンダーやマフラーを組み付けて終了です。

 リンクのグリスアップなどでも作業要領は同じですので、ご参考にして下さい。

 



とりあえずリジッド化が完了したリアブレーキ周辺

 そんなこんなで小改造の割にはバタバタとした感があるリアブレーキのリジッド化ですが、とりあえず何の問題もなく終了できました。どっからみてもノーマルですね。(笑) 実際にライディングしてのインプレはまた後日にこのスペースに追記します。お正月の暇な時間にでも具体的な動作写真も撮影できればイイのですが…

 リジッド化の副次的なメリットとして、タイトだったリアタイヤとトルクロッドのクリアランスにかなり余裕が出来ます。

 

 こちらが今回取り外したトルクロッド。89→90でのタイヤサイズ変更にあわせてトルクロッドも5mmほど外側にオフセットされていますが、写真でもお分かりの通り、若干タイヤと干渉した形跡があります。過去に180/55を履いた時でしょうかね。直立状態では干渉してなくても、タイヤはコーナリング中は横Gでたわみますので、干渉してしまうのかも知れません。

 なお、フレーム側取付ボルトを含め、重量は約270gでした。ボスを含めたリジッド用トルクロッド一式が約225gでしたので、約45gの計量化が出来た計算です。←私には体感出来ません。(笑)

 外したトルクロッドを子細に観察すると、フレーム側マウントはピロボールですし、溶接方法も斜にカットして溶接面積を稼いだ上、抜け止めシャフトまで溶接するなど、やっぱ、この年代のレプリカはコストがかかっているなぁと実感します。

 


【03.07.04】追記

 なかなか写真が撮れなかったのですが、某氏のご協力により、ようやくフローティング/リジッドマウントの動作の違いを写真に納める事が出来ました。…っとはいっても走行中の写真はなかなか撮れないので、簡易的な動作写真(合成してGIFアニメ化しました)になります。

  1. 停車した状態でエンジンを始動し2500rpm辺りまで回転を上げます。
  2. リアブレーキをかけながらクラッチを徐々にミートし、半クラッチの状態(回転数は1500rpmあたりまでドロップ)にします。
  3. その後、クラッチを切り、リアブレーキもリリースします。
  4. フロントブレーキは一切触りません。

 こちらが油冷R純正のフローティングの動作です。

 こちらは改造後のリジッドの動作。
Special thanks to Take. ありがとね♪

 見るべきポイントは色々ありますが、両者のスイングアームピボットの動きに注目するとおおよその雰囲気は掴めるかと思います。フローティングの場合、ブレーキをかけている間は減速Gでフロントフォークが沈みます。後輪のブレーキ反力はトルクロッドを通してフレームで受けるので、スイングアームはフリーになっていますから、フロントの接地面を中心にフレーム全体が前方に回転する方向(ブレーキング中にリアの車高が上がったような動きになる)に動いています。リンクアームに注目すると、ブレーキを踏んでいるにも関わらず、リアサスが伸びる方向に動いているのが分かると思います。つまり、ブレーキング中にギャップに乗っても路面に追随する事が出来るシステムです。

 対してリジッドの場合は、フロントが沈むと同時にリアのトルク反力でスイングアームが持ち上がろう(サスのリンクアームが縮む方向に動いているのが判りますかね?)とします。が、地球には重力がありますので、結果として全体的に車高が下がってます。制動力が働くと、トルク反力とリアサスの反発力が釣り合うところでスイングアームはフレームと一体化(リジッド)してしまいますので、リアサスはストロークする事も伸びる事も出来なくなります。この時路面のギャップを拾ってしまうとかなり跳ねやすいシステムといえそうです。が、ブレーキング時に全体的に車高が下がる安心感は高く、また、その量もトルクロッドをスイングアームの何処に繋ぐかで柔軟に設計する事が出来ます。

 今回は停止状態での実験でしたが、走行中の基本的な動きは全く同じですし、フロントブレーキを併用した場合も同様です。

 まぁ、どちらが「優れたシステム」なのかは何とも言えませんが、それぞれ一長一短がありますので、どちらにメリットを見いだすかで評価は分かれるかも知れませんね。

 

 

 

 蛇足ですが、オートバイに乗る時はくるぶしが隠れる靴とグローブ、長袖の上着はきちんと着用して下さいね。(恥)サンダルはまずいだろ、サンダルはよぉ…


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