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●発進時のもたつき現象


交換済みのコイルと結局無駄になった(泣)プラグコード

 GSX-R BBSでも少し話題になっているのですが、どうもこのところ信号停止などの発進時に失速気味になるケースが出てきました。現象発生時にタコメーターを注視してみると、クラッチミートが大体2500rpmぐらい、完全に繋がると1500rpmまでドロップし(ま、これは普通と思う)、そこからスロットルと連動せずに「モモモモォォ〜〜〜」っとしか回転が上がらず、2500rpmあたりからは普通に回転が上昇するような感じです。しかもこの現象、ある程度エンジンが暖まらないと発生しないので切り分けにはやっかいです。(泣)

 実はこの春先からずっと気にはなっていたのですが、さすがにこの季節になると10分も走れば現象が出るようになってきたので危なくてしょうがない(信号発進の度に気が抜けない)ので重い腰を上げて切り分けの開始です。再現性に乏しいのがネックですが、熱くなるとNGっぽいのでキャブ(パーコレーション起こしてるのかも)orコイル(もう10年選手ですから)にあたりをつけ、作業の簡単なコイルの交換に着手しました。(但し以前に譲って頂いた中古品)

 実は同時に切売りのプラグコード(1m)も用意していて、コードも交換する予定だったんですが、2/3番のコードを切り、残りを1/4番に.....っとなった段階で絶望的に長さが足らない事に気付きました。(泣) 商品は102cmほどあったんですが、油冷後期型には4本分で最低120cmは必要のようです。とほほ....。余裕を見るなら150cmで切売りしてくれるところを探す方がイイかもしれません。

 さて、純正のコイルはパチンと止まるクリップでコードを固定しているのですが、各種サイトを検索するとコード交換時にみなさん爪を破損している様子だったので慎重に作業するも敢え無く破損。(号泣) 中古コイルにはこの爪は付いていなかったのでどうしても移植する必要があるのですが……。猛暑の中、汗だくになりながら「このクソ部品がぁぁぁ〜〜〜!!!!」っとキレまくりました。←何の解決にもならない。(笑) 実際、このパーツは元々非分解指定の上、水道管の部品のような塩ビっぽい部品なので10年選手だとまず無傷で取り外すのは不可能のような気がします。結局、中古コイル+今まで使っていたコード+今まで使っていたキャップの組み合わせで再度組み上げて完了。エンジンがかかる事だけ確認して実走は暑さで断念しました。(笑)←そんなんでイイのか?

 で、交換作業時に少し気になる事が。今まで使っていたコイル&今回使用したコイルの計4個の一次側、二次側の抵抗値を測定したんですが、マニュアル上では

が標準値なんですが、実際の計測結果は

となりました。但し2次側はプラグキャップ内のターミナルにテスタを当てて測ってます。(マニュアルには測定場所の指定がない) 以前に使い古しのプラグの抵抗値を計測した事があったんですが、新品はどれも同じ抵抗値であるのに、中古品はバラバラになっていた(数値失念)事を考えると、かなり怪しい数字ではあります。この数値がある程度劣化の目安になるといいんですが、新品が手許にないので、マニュアルの数字がどれだけ信憑性のある数字なのかはイマイチ不明です。

 あまりの暑さに負け、実走は未実施ですのでこれで解決したのかは定かではありませんが、抵抗値がマニュアルからかなり外れているのでここはやはり新品のコイルを用意するのがベストかもしれません。つか、爪を壊しちゃった(一応定位置まで爪を押し込んで接着剤で止めてるので今のところ大丈夫だと思うんですが)のでいずれ手配する必要があるかも>コイル

 とりあえず、この件は継続中。また追ってレポートします。


【02.08.11】追記

 前述の中古コイルへの換装でも症状が発生した&爪の破損もあって結局新品コイルを手配しました。

 で、盆休み前に無事新品コイルが届いたので本日汗だくになりながら換装しました。新車当時は1-4気筒のコイルと2-3気筒のコイルは別品番だったのですが、現在では両方とも同じ品番に統一されているようで、届いたコイルのハイテンションコードは1本50cmはあろうかという長さでした。(笑)ま、切って使えってことなんでしょうね。(34410-17C01 @3450円です) ちなみに気筒番号を記したシールは付いてません。

 作業も二度目なら比較的サクサクと進み、露天作業を中断してコイルを部屋に持ち込んで加工する知恵も付いたので(←馬鹿だね)改めて同一条件で中古/新品コイルの各種抵抗値を計測したところ、

1次側

2次側(ハイテンションコード端で計測)

中古コイル

3.4〜3.5Ω

16.0〜18.5kΩ

新品コイル

3.3Ω

15.2kΩ

ってな計測結果となりました。どうもマニュアル記載の2次側抵抗値はハイテンションコード端での計測数値のようですね。前回の計測結果と大きく違っているのはプラグキャップにもノイズ防止の抵抗が使われているからなのでしょう、きっと。1次側の数値がマニュアルと異なっているのも気になりますが、だからといってどうする事も出来ないので(笑)、結局そのまま組み込みました。が、新品コイルでは(マニュアルとは数値自体は違えど)個体の間で数値のばらつきはありませんでしたのでこのあたりが劣化の目安になるやもしれません。

 本来であればついでに本格的にキャブの清掃も行ないたかったのですが、4連キャブを取り外す気力も無くなるような暑さだった為断念。2〜4番のキャブのみキャップを外してダイヤフラムの清掃とニードルの状態チェックを行ないました(1番のダイヤフラムキャップは車載のままでは取れない)が、さすがに55000kmも走っているだけあって、いずれの針も指で触って分かるぐらいの段付き磨耗をしておりました。特にアイドル付近(クリップ側)と中間開度辺りが顕著に磨耗してますな。(残念ながら写真は無しです) やっぱそろそろ本格的なOH時期に差しかかりつつあるようです。

 肝心の効果のほどなのですが例によってまだちゃんと炎天下の中での実走をしてませんので、また改めて追記となります。


【02.08.17】追記

 コイル交換後満足に走行する暇がなく、その効果も判断出来ないまま(ダメじゃん)前回の作業で1番キャブだけ清掃が未着手だったのが気になり、重い腰を上げて久々にキャブを取り外して各部の清掃をしてみました。←暑くて走りに行く気が起きなかったらしい(笑)

 前回のキャブ脱着作業(フューエルホースの交換)からおおよそ18ヶ月振りなので手順が少し怪しかったのですが、なんとかマニュアルを見る事なく脱着出来ました。意外と作業のポイントは覚えてるもんですね。(この時はダイヤフラムキャップすら開けなかった)

 一応作業内容を列挙しておきますと、(表題の「発進時のもたつき現象」とは関係ない作業内容も含んでます)

  1. ダイヤフラムのチェック&清掃(1番のみ)
  2. ニードルの段付き磨耗の研摩(1〜4番)
  3. ダイヤフラム下室の清掃(1〜4番)
  4. パイロットスクリュのマスター合わせ(1〜4番 全気筒1+1/2回転戻しで統一)
  5. メインボア内の清掃(1〜4番)
  6. イン/アウトインシュレータの清掃/潤滑、クリーナボックス内の清掃

って感じです。ダイヤフラムには極薄くシリコングリスを塗布、その他のゴム製品(ホース含む)はポリメイトを含んだウェスで表面をしっとりとさせました。多少曲げたりしてヒビ等の有無をチェックしましたが、弾力もそこそこあってインシュレータ類もまだまだ大丈夫っぽいです。

 2.の段付き磨耗の研摩ですが、ニードルを電気ドリルにチャックし、ピカールで磨いたのですが多分何の効果もないです。(笑)つか、ピカールで磨いた時特有の「黒い磨きカス」がウェスに全然付かないので意外としっかりとした表面処理がされているのかもしれません>ニードル 仕方ないので研摩は諦め、6ZD7の刻印が全てのニードルに刻まれている事を改めて確認して終了です。(Road Rider 02年9月号によるとニードルはリン青銅(シンバルの材質と同じ)が一般的らしいのですが、このキャブの針はどうもアルミ製っぽいです) キャブの精度はミクロン単位なんてよく言われますが、針が指で触って分かるほど段付き磨耗しているにも関わらず調子が良ければ普通に走っているので今回あえてこの作業を実施しましたが、本来であれば御法度の作業の筈です。同様の作業を実施してあなたのオートバイが不調になっても私は一切関知しません。悪しからずご了承下さい。

 3.のダイヤフラム下室の清掃はこんな感じ。

 他の気筒と比べて比較的マシなんですが、かなり細かい埃(ウレタンのカスのようなもの)がダイヤフラム下室に入り込んでます。黄色の矢印の穴はセカンドエアクリーナを通して大気解放されているんですがゴミが入るとしたらこのルートしか考えられないのでどうも納得がいきません。う〜〜ん。他のオーナーさんも同じように混入するようなので何か根本的に問題があるのかも。取りあえず他の気筒と同じように清掃しました。

 メインジェット経由でフロート室に埃が入ると厄介なのでメインボアにウェスを突っ込んで埃の落下を防いでの作業となったのですが、ウェスそのものの汚れ等が気になりだす悪循環。(笑)やはり完全分解&洗浄に勝るものはないと実感します。ばらしたまま放置できる環境ならじっくりと取り組みたいんですけど、青空整備だとどうしても限界がありますね。

 (出来るだけキャブを開けたくないのも同じ理由からです。各種フィルターがきちんと機能していればほぼ異物は混入しませんので。反対に無造作に脱着すると設計外のサイズの異物は簡単に吸気経路に混入します。けど実際問題、スポンっとはキャブは外せませんからコジったり捻った時にインシュレータに埃は落ちますね…)

 

 で、キャブ近辺で上記カスを発生しそうなものはクリーナボックス上に鎮座するウレタンクッション(赤色の矢印)です。経年変化で指で触ればキャブに混入していたのと同じような細かいウレタン屑がボロボロと発生します。

 けど位置的にセカンドクリーナより後ろだし、エアクリーナ経由だとしてもメインボアの空気はダイヤフラム下室には来ないはずなのでひょっとしたら見当違いなのかも。まぁ、走行中のタンク下の空気の流れなんてかなり渦巻いてるでしょうし、ここで出た屑がセカンドクリーナ経由で混入するのかもしれません。

 本来なら取り外してウレタンを新品交換が一番なのですが部材を取り寄せていなかったのでクッション表面にシリコンのコーキング材を薄く塗布し屑が出ないように処理しました。(ウレタン左側がテカってるのは処理途中に撮影したからです>右半分は未処理)

 

 ついでに取り外したばかりの負圧ピストンとニードルはこんな感じです。恐らく12年間ノーメンテだったピストンには結構頑固なヤニが付いてますね。

 擦過痕もかなりあります。

 取りあえずキャブクリーナでヤニを完全に除去した後、ピカールでピストン摺動面を磨きましたが、走行距離を考えると本来であれば交換するのがベストでしょう。(これは針も同じ)

 4.のパイロットスクリュについては輸出仕様標準の1+1/2戻しに全気筒を揃えました。調整前の数値は、以下のようにかなり無茶苦茶でした。(泣) ひょっとして出荷時にCO計で実測ながら調整してるんですかね?>パイロット系 ヨーロッパは環境に昔からうるさかったし… それとも振動で弛んでくるんですかねぇ?

1番

2番

3番

4番

2+1/8戻し

1+1/8戻し

1戻し

2戻し

 作業開始からキャブを外して清掃/再度組み付けるまで、なんだかんだでおおよそ4時間。ついでの作業が多かったとはいえやはりかなりの時間を喰います。タンクまで取り付けてコックをプライマリに捻り、祈るようにセルを押すと4度目のクランキングでエンジンに無事火が入った…のは良かったんですが、辺りに響く爆音!! タコメーターを見ると回転数は6000rpmなんて数字を指してます。 ゲロゲロ!!

 アイドルスクリューを調整しても解決せず、かなり途方に暮れていたんですが、ワイヤーの取り回しを少し変えた影響か、スロットルの遊びが全く無くなっていてどうやらバタフライが全閉になっていない様子。スロットル側で遊びを適性に調整して再始動すると無事アイドリングを始めてくれました。よかったぁ〜。

 で、結局長時間作業の疲れには勝てず(笑)、シャワーを浴びて「実走テストは明日にしよう」っと決め、ウダウダと過ごしていたら偶然NHKで「エリザベス女王即位50周年記念ライブ」を発見してしまい、明け方4時まで見てしまいましたとさ。


【02.08.18】追記

 当然のように起きたら昼前。(笑) しかも天気予報は下り坂を告げており、「エンジンが暖まったら発進時にもたつく」という当初の問題が解決されたかを確かめるには不適当な天候となってしまいました。降られると嫌だし、このまま部屋でウダウダと過ごそうかとも考えたのですが、確かSBSが本日からお盆明けの営業再開だった事を思い出し、いそいそと準備して出発。かなり空いている新御堂を北上しながら色んなギアで吹けあがりを確かめましたが、これといって良くなった訳でもなく、かといって悪くなったところもなく、少し拍子抜け。強いて言えば5000rpmあたりの吹けあがりが少しもっさりした感じになったような気がするのと、全体的な振動が減ったように感じるのですが、これもブラインドテストをしたら多分気付かない程度です。金と時間をかけた割にはなんだかなぁ…な結果ですが、もともと暑い時以外は調子が良かったのでまぁ、当然の結果なのかもしれません。

 SBSに到着し、常連さん達とウダウダしながらピットを見ると作業中の車両は無いようなので、キャブも外した事だしやっぱり同調を取っておこうと思い立ち、店長に相談するとあっさり快諾。取りあえずピットにバイクを入れてタンクを外し、バキュームゲージをセットしてあとは店長にお任せです。残念ながらまたもやデジカメを持って行かなかったので写真は未撮影ですが、思ったほど狂っていなかったとはいえ、全気筒でバラバラになっていました。最後の同調が去年の10月ですので、キャブを外した事を割り引いたとしてもやはり年一回は取った方がいいのかもしれません。

 同調作業も完了し、ゲージセット時に落としてしまった負圧取り出し口のゴムキャップのホースバンドも無事回収し(笑)、エンジンが冷えるのをまってタンクを組み上げ完了。

 再度店でウダウダしてるとポツポツ降り出したのでいそいそと引き上げました。新御堂はかなりウェットになってしまっており、帰りも実のあるテストが何も出来ず仕舞いだったのですが、R171での信号発進や停止直前等、アイドル付近の粘りはかなり復活してました。ホンダ車と同等の粘りとまではいかないのが悔しいですが、レーサーベース車である事を考えると十分で、これなら一本橋も20秒ぐらいはなんとかいけそうです。(笑)

 結局、表題の「発進時のもたつき現象」については解決したのかどうなのか良く分からない結果となってしまいましたとさ。 っつか、キャブ関係の追記は別項目を起こした方が良かったのかもしれませんね。

 けどまぁ、今月末には猪名川のスクールも再開されますので、そこで最終的な判断は下せると思いますので、この件はまだまだ「継続中」であります。


【02.08.25】追記


左は新品、右は約10000km走行後のエアフィルター

 何度手間になるのか良く分からんのですが(笑)、新品のエアフィルターが届きましたので交換となりました。いつものごとく駐輪場でバイクをいじっていると「兄ちゃん、ほんまにバイクいじるの好きなんやねぇ…」っとおばちゃんに突っ込まれました。(笑)

 先日のキャブ掃除の時に気付いてはいたのですが、こうして新旧を並べるといかに汚れているかが良く分かりますね。

 交換手順はいつもどおりなんですが、ほんの少し写真を交えてレポートです。

 お馴染みの風景ですが、フィルターを交換するには前後シート+シートカウル+バッテリー+バッテリーケースを外す必要があります。

 バッテリーケースを外すとこんな感じ。(既にフィルターは外れてます)

 外す時はそれほどでも無いんですが、このスペースからフィルターを押し込む時はバッテリーのリード線やイグナイタへの配線、バッテリーのブリーザチューブ等、様々な部品を避けながらの作業になります。

 性能直結パーツ故、設置位置を妥協出来なかったんでしょうが、やはり交換作業に着手するのにはある種の「覚悟」を必要としますな。

 で、Tipsとまではいきませんが、交換作業の際には矢印部分の四角いナット(合計4個あります)の脱落に注意して下さい。

 フィルターを装着する為にボックスをゴソゴソと揺らすと比較的簡単にポロリと脱落してしまいます。

 このナットを無くしてしまうとフィルターを固定できなくなります。(ナットそのものは大きめのホームセンターで手に入ると思います)

 あとは逆手順で組み立てれば終了です。

 様々な作業を短期間で実施した為、どれが一番効果的なのかだんだんあやふやになってきているのですが(笑)、同調作業も効きますが、フィルターの交換はやはり効きますね。特に今回のように再現性の乏しい現象に対処するためには、まずプラグやフィルター等の消耗品を新品に交換してから着手すべきだったなぁと反省してみたりしています。ま、商売してる訳ではない&作業そのものも楽しんでいるので別に構わないんですが、すこし遠回りし過ぎだなぁ…(笑)

 とりあえず、今度の週末のライディングスクールで表題の件は最終報告ができると思います。(プラグも交換するか悩んでます)


【02.09.03】追記

 8月最終土曜日に開催された猪名川サーキットライディングスクールにてほぼ一日中乗りましたが、懸案された「発進時のもたつき現象」は一度も現れませんでしたので、これにて一応解決となりました。「一応」となっているのは関連作業が多すぎて結局どれが一番効いたのかが不明な為です。恐らくコイルだったと思うのですが、確証が持てないため、同種の現象に悩まされている方々をかえって悩ませる結果となってしまったのならば申し訳なく思います。けどまぁ、個人的にはすっきりとリフレッシュ&不安要素がかなり減ったのは結果的に良かったなぁ…と思っています。

 あとはキャブの完全リフレッシュなのですが、これはもう暫く先になりそう&別タイトルでのご報告になると思います。








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