【07.01.13】
ようやく開梱の運びとなったオルタネータ。錆びてなくて良かった…
ってなわけで、たまにはちゃんと更新しないとなぁ…(汗
昨年末にセルモーターの点検と構造を追加したばかりなんですが、Silly Talkで電気の事を少し書いたこともありますので、面倒くさくて開梱すらしていなかったオルターネータ(発電機)もざっと開梱して点検してみる事にしました。
実物の解説に移る前に、少しだけ言葉の整理を。
オートバイや自動車に搭載される発電機は、ダイナモやら、ジェネレーターやら、オルタネータやら、実に様々な呼び方がされているのが現状で、業界として呼称の標準化はさっぱり行なわれていない様子です。以下、私的な言葉の使い分けになりますが、
って感じです。油冷エンジンには3番目のオルタネータが使われています。その昔、YAMAHAさんからXJシリーズが出た時には「背面ジェネレータ搭載!」なぁんて宣伝がよく行なわれてましたし、カワサキさんのMotoGPレーサーにも「倍速ジェネレーター」なる発電機が搭載されてましたけど、あれってオルタネータじゃなかったのかなぁ…
以下、実物の考察。きちんと測ってませんが、結構重くて、5kg位はありそうです。
R750J用って事で落札したんですが、ちと品番が違う様子(汗
みたいです。 川崎のNinja900系エンジンのジェネレータと内部構造は殆ど同じだと思います。 |
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こっちがクラッチ側のギアと噛みあってます。写真じゃよく分かりませんが、常時噛みあってるギアですので、騒音軽減のため、斜めになった歯(ヘリカルギア)になってます。歯数は30T(1100系は28Tなので部品手配時は要注意)ですので、R750Lにも問題なく使えるでしょう。 シャフトのナットは丁寧に3箇所もカシメてありますので、分解は控えました。 パーツリストを見ると、リアのスプロケットのようにダンパまで入ってるみたいです。 |
続いて、カバーを取り外して内部を見ていきます。
ちとピンボケですが、赤矢印のナットを8mmのメガネ若しくはソケットビットで外します。(影に1本隠れているので、合計3本あります) |
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中身はこんな感じです。セルと同じく、ブラシの削れた粉末でかなり汚れてます。 黄色の矢印はレクチファイヤ(交流→直流に変換する部分)、赤い矢印はレギュレータ(14V前後に電圧を制御する部分)、緑の矢印にはセルと同じくブラシが入ってます。 更に奥にはステータ(コイル)やらローターコイルが入ってます。 |
レクチファイヤの分解には60Wクラスの半田ごてが必要ですので、今回は無視して、レギュレータとブラシを取り外してみます。
ネジを4本外せばレギュレータは取り外せますし、部品も単品で出ます。…けど、結構なお値段がした気がします。 真ん中の丸い部分がICらしいです。ネジで取り外せるんですが、一部ハンダ付けされているので、これ以上の分解は意味が無いかと。 レギュレータはかなり熱を持ちますので、最近の油冷エンジンのレギュレータにはCPUクーラーのような放熱フィンがついているみたいです。きっとかなりパンクしたんでしょうね… |
発電電圧を制御する部品ですので、オルタネータのレギュレータ故障時の典型的な症状は、
どちらも考えられますが、殆どの場合、電圧が異常に上がるようになるみたいですね。定格は14.5V±0.3Vです。
レギュレータを取り外すと一緒に外れるブラシです。 セルと違って、オルタネータには冷却の為に通風口があけてあるので、短絡を防ぐ為にゴムのブーツが被せてあります。このブラシも単品で部品が出ます。 マニュアル上の磨耗限度は4.5mmですので、このブラシはまだまだ使えそうです。 |
って感じでざっとオルタネータの内部構造を見て来ましたが、レクチファイヤやレギュレータを除くと、セルモータの内部構造とあまり変わらない(コイルと磁石の位置関係が逆になります)事に気がつくと思います。
セルは、アマチュアと呼ばれるコイルに電気を流して電磁石とする事で永久磁石の磁界と電磁誘導を利用して軸を回します。逆に、発電機は、エンジンの力で軸を回し、永久磁石とコイルの磁界との電磁誘導を利用して電気を取り出しますので、構造が似るのはある意味当たり前とも言えます。荒っぽく言えば、モーターに電気を供給すれば軸が回り、軸を回せば電気が発生するって感じですかね。昔はセルとダイナモ(直流発電機)を兼用したセルダイナモってのもあったそうです。
永久磁石は基本的に磁力は変化しない=回転数に比例して発電電圧が上がってしまいますが、永久磁石の代わりに電磁石を用いれば、電圧が上がれば電磁石を弱く、電圧が下がりすぎれば電磁石を強くすることで、発電電圧そのものをコントロール出来るようになります。これがオルタネーターの一番の利点なのですが、回転軸に付いている電磁石に電気を供給する為、セルと同様、カーボン製のブラシをバネで押付ける必要があります。軸に電線を直接接続する事は出来ませんからね。
セルの場合はワンウェイクラッチがついてますので、エンジンが始動してしまえば軸は回らなくなりますが、オルタネータの場合はエンジンが回っている間、ブラシはずっと軸と擦れ合っている訳で、冷却の為の通風口(ファン形状になっていて、強制排気している)から排出されるとはいえ、削りカスはかなり出ますし、セルと比較するとカーボンの寿命も短くなると思われます。私の愛車も10万キロ走破が目の前ですので、そろそろブラシの点検をした方がイイんだろうなぁ… ←寒空の下の整備を避けたい模様(笑)
あ、当然ですが、永久磁石を用いているジェネレータ式の発電機にはブラシは使われていませんので、点検や交換の必要はありません。
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