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●VJ22Aメーターへの換装


RGV-γ用のメーターAssy

 大して必要があった訳ではないのですが、Yahoo!のオークションをぶらぶらしていて偶然このメーターAssyが目に留まりました。私のRもそうなのですが、何故か90年前後のγやGSX-R400などはメーターがカウルマウントではなく、トップブリッジからステーを伸ばしてマウントする形状になっています。ステム前方にこういった重量物がマウントされているとそれだけハンドリングに影響する(どちらかというとダルになる)ので、ずっとカウルマウントへの改造を計画しているのですが、スペースの関係で、どうやってもうまく出来そうにありません。まぁ、最新型の機種(薄くて軽量)のメーターを流用すればスペースもかなり稼げそうなのですが、いかんせん、スピードメーターの駆動方法やタコメータのパルスの取り出し、物理的な装着方法の違いや、最近では殆どの機種がFIとなった関係で、メーターへの配線もかなり複雑化してしまい、マニュアルや配線図を読む限りでは一筋縄では行きそうにありません。

 実はメーターのカウルマウント化はかなり前から計画していて、同系列の油冷エンジンを積む初期型GS1200ssの薄型デジタルメーター('00型R750とほぼ同形状)が最有力候補だったのですが、国内モデルの悲しさか、Max表示が180km/hであることと、新品の価格がとても手が出る値段ではなかったので断念した経緯がありました。スタックなどの多機能メーターが一番なのは承知していますが、さすがに手が出ません。(泣)

 で、このオークションが最低落札価格無しの1000円スタート、終了5日前で入札者無しだったことから、悪い虫がうずき始めます。(笑)ま、今使っているメーターが壊れてしまった訳ではないですし、ハンドルマウント→ハンドルマウントに換装しても何の意味もないのですが… そうです。γは水冷エンジンなので一番右側に水温計が付いているんですね。これを油温計としてそのまま使えれば…ぱっと見ノーマルな油冷GSX-Rの出来あがりっとなりそうな予感がします。

 油温計については購入以来ずっと装着を迷っていたのですが、いかにも!ってな後付は趣味ではなかったのと、仮に油温が極端に上がっても休憩するしか対処のしようがない関係で、重量増や盗難の危険性をおしてまで付けるメリットをそれほど感じていなかったのが本心なのですが、ある程度の目安になるのであればあっても困らないのは自明ですので、今回の換装計画とあいなりました。将来、スタック装着時はスピードメーターのステーをグラインダで削り取ればそのまま使える(ハンドルマウントだけど…)のも理由の一つです。

 久々の改造ネタゲットですので、いそいそとSBSにお邪魔しVJ22A型のγのサービスマニュアルを熟読すると、γ純正の水温センサー(34850-14F00)を組み合わせれば、水温計の最低表示温度は41℃、針が水平位置で82℃、レッド直前で117.5℃、レッド振りきりで127.5℃を表示する事が判明しました。純水ではなく不凍液である事、ラジエターキャップで加圧されている事から、冷却水の沸点は100℃よりかなり上である事は分かっていたのですが、油温計との表示範囲の差は案外小さいですね。エンジンオイルの適温は110℃程度と言われていますので、この表示範囲ならのこのまま油温計に転用しても実用になりそうです。となるとあとはセンサーのフィッティングがうまく行くかどうかなのですが、Daytonaさんのカタログで汎用デジタル水油温計のフィッティング状況を確認するとどうやら問題なく装着出来そうです。というのも、温度センサー(サーミスタ)のネジは油温/水温関係なくほぼ汎用規格のようで、PT1/8というネジピッチが一般的だからです。ですので、デイトナさんなどから発売されている、フィッティングしたい場所に合わせた変換アダプタを用意すれば問題なく装着できそうです。

 最終的にライバルが一人出現しましたが、1200円(笑)でメーターは無事に落札出来ました。手元に届いたメーターは写真で見るより随分くたびれていましたが、ステーと水温計が生きていればタコやスピードは不要なので、値段を考慮すればまぁOKってところでしょう。幸い、スペアパーツは潤沢にありますので、早速γのメーターをばらして仮組検証を開始します。

 組み替えの為に取り外したメーター。

 左がγ純正、右がRのスペアタコメーター。直径は同じですが、10mmほどRのメーターのほうが背が高いので、背面のパネルの位置合わせに工夫が必要っぽいです。

 スケールの関係でメーターは換装してしまいますのでコネクタ形状の違いは関係ありませんし、固定ネジのピッチは全く同じなので、そういう意味ではボルトオンです。

 スペアのトップブリッジに合わせてみたところ。タコメータはRのもの。

 真正面がタコメータになるのでかなりレーシーな雰囲気かも。イグニッションスイッチが付いてないので何とも言えませんが、このままでは各種警告灯が見にくいかもしれません。

 背面から見たところ。ステーのネジ穴位置(4本)は全く同じなのでボルトオンですね。

 角度を変えるとこんな感じ。R純正と比べるとメーターの位置が随分下がるので、直進時はOKでも、左右に切った時にカウルなどへの干渉が心配。

 必要な部分単体にしたらこんな感じ。

 ちなみに水温計の直径はφ50mm、固定用ネジ間のピッチは32mmです。汎用の油温計もひょっとしたらすっきりマウントできるかも知れません。

 ハーネスはRのメータ用を利用するので、γのメータの温度計関連のハーネス(元々別回路になってる)だけを残しています。

 温度センサーの装着とメーターへの配線

 

 γ純正の水温メーターの配線。左から、キーオンで12Vが流れるイグニッション、真ん中がアース、一番右が温度センサー(サーミスタ)にそれぞれ接続すれば電気的には動くはずです。

 左がγ純正の温度センサー(サーミスタ)、右がオイルラインに割り込ませる為のアダプタ。

 今回使ったアダプタはカー用品店のジェームスで購入。@800円でした。デイトナさんの値付けは@1300円ですので、やっぱバイク用品は流通量の絡みもあってか、かなり高いですね。

 さて、ここから先は天候を気にしながらの作業となった為、ぶっちゃけ、作業途中の写真がありません。ざっとかいつまんで作業内容を列挙すると、メーター側では、

  1. GSX-RのメーターAssyを取り外す。(トップブリッジを外す必要があります)
  2. タコ、スピード、メーター用ワイヤーハーネスを取り外す。
  3. γのメーターステーにタコ、スピードを移植する。
  4. Rのメーター用ハーネスをほぐし、前述の水温メーターの配線を割り込ませ、配線用自己融着テープで再度束ねる。

って感じです。前述のメーター高さの違いは別にして、タコメータはそのままステーに移植できますが、スピードメーターは駆動ギヤのサイズが違いますので、メーターステーを現物合わせでサンダーで削り、固定ボルト穴を開け直すなどの小加工が必要です。理想を言えば、R用のメーターステーを切り取って、位置決めの上、γ用のステーに溶接できれば見た目も一番スマートに収り、強度的にも不安がないと思います。(後述しますが、γのステーのままではスピードメーターが若干左に傾きます。スペアのステーもあるので、溶接さえできればそうしたいんですけどね。)

 センサー側は、どこで温度を測るかを決めなければなりません。デイトナさんのカタログを熟読すると、年式によって油冷GSX-Rのセンサー取付部分が違う事に気付きます。また、同じ油冷エンジンを積むGSFなんかも推奨位置が異なります。うぅぅむ。

 R750Lの場合、パーツリストだけ見ると、オイルラインに楽に割り込ませられる場所は、ドレンボルトを除くと左の3ヶ所。赤と青ならオイルクーラーに行く直前の温度、緑の位置に割り込ませればオイルクーラーから帰ってきたオイルの温度が測れます。

 オイルを抜かずに作業しようとすると緑の矢印の位置がベストですが、今回は赤色の矢印に割り込ませる事にしました。アダプタのサイズはM16のピッチ1.5mmになります。ちなみにR750Lのデイトナさん推奨位置は青の矢印(M14)ですが、この位置だとエンジン正面にセンサーが来るので、サイドから取り出す事で水跳ねや飛び石からの影響を排除しようとの魂胆です。

 ところが……

 GSF1200などは上記めくら蓋に簡単にアクセス出来るのですが、GSX-Rの場合、フレームが邪魔をして全くアクセス出来ません。(泣) このプラグを外す為だけにオイルパンを外すわけにもいきませんし、このスペースでは例え外れてもセンサーがフレームに確実に干渉します。(泣

 アンダーカウルを外すのを面倒がり、SBS店頭に並んでいるGSFの実車しか確認しなかった私が悪いのですが、既にアダプタは買ってしまったあとですので、ボルトサイズが違う為、青矢印の位置には使えません… う〜〜〜ん。

 ま、オイルを抜いたあとで気付くよりはマシですが、何故カタログなどが同じ油冷エンジン搭載機でも取り付け推奨位置を変えているのかが良くわかりました。


黄色の矢印は防水の為のシリコンコーキングです。
手元に黒がなかったのでちょっとみっともないですね。(泣)

 

 しかたがないので再度オイルラインを調べ、結局右側パルサーカバー下のオイルライン(いわゆるメインギャラリー)に割り込ませる事にしました。青の矢印にセンサーを装着できない油冷後期のR1100や88/89R750では結構ポピュラーな位置ですね。(アンダーカウルとのクリアランスがかなりタイトなので、ちょっと工夫が必要ですし、転倒時のセンサー破損にも気を使う必要があります。もう少し薄型のアダプタがあればジャストフィットだと思われます。)

 ちなみにこのラインは、オイルクーラーで冷やされたオイルがフィルターを通過後、クランクメタルへと圧送されているラインになります。オイルプレッシャー(オイル警告灯)のセンサーもこのラインに割り込んでます。

 ま、私の場合はあくまで目安でしかないのでどうでもイイんですが、この位置で測るとクーラー通過前のオイルよりは確実に冷えていますので、スポーツ走行での油温管理が目的ならその辺りも考慮する必要があると思います。

 

 装着後の様子

 そんなこんなで、一応装着は完了し、全ての動作が正常に行われている事は確認しました。この季節だと街乗りだと水平(約80℃)まで上がる事はなく、長い信号待ちでも時計の短針が8時の位置(多分60℃ぐらい)程度のようですね。

 乗車姿勢ではこんな感じ。 各部の干渉を避ける為、メーターステーは結果的にかなり起こす(メーターを立てる)必要がありました。

 乗ってみて実感しましたが、真正面にタコが来るのは予想以上(必要以上?)に気分が盛り上がります。(笑) 完全伏せ姿勢でスクリーン越しに正面を見るような状況ではかなりイイ感じかも。

 こちらは動作中の写真です。温度計が動いているのが分かりますか?

 また、前述の通り、γの背面マウントステーの角度の問題で、スピードメーターが若干左に回転しています。(笑) ま、ご愛敬って感じですかね。

 予想通りですが、キーシリンダーに隠れて各種警告灯のインジケーターがちょっと見にくいかな。

 ちなみにこっちが改造前のR750Lの純正メーターAssy。

 カタナと同じく、この配置が油冷後期のGSX-Rのアイデンティって気もするので、γメーターへの換装に魅力を感じない方は多いかも知れません。

 R750はブリッジ下にハンドルがある&カウルが低いので、R1100と比べるとかなり下側にメーターが付いてます。

 後述の"どこでもウェス"が写ってますね(笑)

 試行錯誤の結果、γ純正メーターとの高さの違いは、矢印のようにウレタンゴム製のスキマテープをメーターに巻く事で対処しました。

 ハンドルを右一杯に切った時にメーター側駆動ギヤとカウルステーとのクリアランスが一番タイトになるのですが、なんとか干渉を避ける事が出来ました。

 ま、この部分はR750純正メーターでもかなりタイトな部分なのですが… ホンダの社内基準だと設計段階で跳ねられそうです。(笑)

 

 前側から見るとこんな感じです。

 サーキット走行をする機会が増えたのに合わせ、昨年秋口にスクリーンをノーマルのクリアに戻してますが、その際に目隠し用のカッティングシートをスクリーンに貼っている関係で、メーター裏はそれほど見えませんね。(一部の方から"どこでもウェス"と蔑まれてる(笑)丸めたボロ雑巾&軍手がカウル裏側に押し込まれている為、それを目隠ししています)

 メータ用ハーネスはGSX-R純正をリビルトして使ってますし、コネクタの固定もγのメーターステーにすっきり収りました(ステーの小加工が必要)ので、目隠しがなくてもそれほどゴチャゴチャした景色ではないです。

 

 っとまぁ、予想以上に純正っぽいルックスで油温計機能が増えましたので私的には結構満足しています。けど、それほど参考にならない改造ネタだったかも知れませんね。(笑) 今回、コンセプトに反し、若干の重量増にはあえて目をつぶっています。(そんなんでイイのか?)

 あ、そうそう。今回のレポでもお分かりの通り、油温計や水温計の他車流用は比較的簡単なのですが、流用する際にはメーター(表示部)とセンサーは必ずセットで流用する必要があります。センサー(サーミスタ)とは結局、感知した温度に応じて抵抗値が変わる可変抵抗ですので、物理的/電気的に接続できても、組み合わせが正しくないと正しい温度を表示する事が出来ません実は今回使ったγ用センサーは品番統一が掛かってますので、本来なら熱したオイルに浸して表示温度(センサーの抵抗値)を把握してから装着するのが正しい流用方法です。


【03.02.04】追記

 書き忘れましたが、マスターからのブレーキホースを二本出しで取り出している場合、バンジョーボルトとメーターのクリアランスがかなりタイトになります。私の機体では干渉はしませんが、エアフリーバンジョーを装着しているのならほぼNGだと思われます。ご参考になさる際はご注意下さい。








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