我がGSX-R750Lに純正採用されているキャリパー(Nissin製異径4ポッド)は80年代後半のワークスキャリパーのコピー品であり、88JからGSX-R750に純正採用され、OW-01やTZなど、Yamaha車にも類似キャリパーが採用されたほど高性能なものです。登場当時のインプレでは事ブレーキに関しては絶賛の嵐で、「鋳鉄に劣らぬフィーリング(Raiders Club No.120)」なんて記述もそこかしこで見ました。6ポッドが一般的になるまでのおよそ8年間、ほんのつい最近までSUZUKIのスポーツモデルに幅広く採用された関係で、対応車種も多く、いわゆる90mmピッチのキャリパの代表と言ってもいいでしょう。
また、スズキのスポーツモデルのリアキャリパ(伝統的にトキコ製)も、85以来、微妙に形状こそ違えど、対応パッド形状は1種類のみで、こちらは今現在まで変わっていません。
こちらの記述でもお分かり頂けると思いますが、私自身はブレーキパッドに関しては「全く」といっていいほどブランドにこだわりが無く、「そこそこ効きさえすればブランドなんて何処でもイイ」という、かなりいい加減&場当たり的なパッドチョイスをくり返してきました。で、先日、とある事実に気がつき、今更ながら驚愕してしまったのです。(笑)
まずは以下の2枚の写真をじっくりと見比べてみて下さい。
フロント用パッド |
左はVesrah製のシンタード、右はSBS製のストリートパッド。どちらも新品未使用です。 |
リア用パッド |
左はプロジェクトμ製のシンタード、右はRKエキセル製のストリートパッド。シンタードは新品未使用、RKのは使い古しの中古品です。 |
やっぱシンタードのメタリックな輝きはいかにも「効きそうだね!」......ってな話ではありません。(笑)また、溝の数や深さの話でも無く、注目して欲しいのはパッドのライニング(摩擦材)の形状です。外周部分の形状はどのメーカーのパッドも同じなのですが、内周部分の形状はメーカーによってまちまちなのです。(いずれもGSX-R750L対応品と明記されたパッドです、念のため)
ずっと同じブランドを使い続ける場合はさほど問題が起きる事はないと思いますが、私のようにふらふらと気分でブランドをチェンジしながら距離を走り、また、ハードにブレーキを使うほど、この形状の差異がのちのち問題となってきます。特に、右側の形状のパッドを長く使っていた方が、左側の形状のパッドに乗り換える場合(実は私がそうです)に顕著にあらわれます。
右側の形状のパッドを使い続けていくと、ディスクローターは大袈裟に描けば下図のように磨耗が進行してゆきます。
で、ある程度磨耗が進行した段階で左側の形状のパッドに乗り換えると、
上図のように、赤色の部分が新たな摺動面として機能するようになります。磨耗が酷く無い場合にはさほど問題は出ないかもしれませんが、指で触って段差を確認できる程度まで磨耗が進行している場合、ディスクとパッドの当たり面は下図のような状態となり、パッドの馴染みが遅れるばかりで無く、パッドを斜めにピストンが押そうとしてしまう(摺動するという事は僅かながら隙間があるという事ですので)関係で、バックプレートの歪みを筆頭に、パッドピンの磨耗進行、シール劣化の進行、ピストンのパッド当たり面の偏磨耗など、実は何一つイイ事が無いのです。(泣)
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大袈裟に描けばこのような状態になるので、どうしてもパッドは「ハの字」に動こうとします。するとピストンは全周では無く、(図では)下部のみでパッドを押す結果となりますね。 |
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かなり前にSBS製パッドからデイトナの安物パッドに交換し、慣らしを終えた直後のリアローターの写真。ディスク内周部がかなり焼けている事に気付きますか?.....私はこのコンテンツを作るまで、「いい感じに焼けてるなぁ」なんて呑気に考えていたんですが、実はこれ、パッド形状の違いに拠る当たりムラの結果だったんですねぇ....(泣) このローターは間もなく新品に交換予定です。っつ〜か、スズキのリアキャリパーは色々問題を含んでいるのですが、これはまたいずれ別コンテンツで。 |
ってことで、結論:
パッドはライニングの材質だけで無く、形状にも気をつけて選択すべし!!
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