一般的な二輪車のフロントフォークはいわゆるテレスコピックフォークを採用しています。私のRも倒立タイプではありますがやはりテレスコフォークです。で、このフロントフォークは、操舵機能と緩衝機能を兼用する必要がある為、三つ又と呼ばれる部品でフレームに取り付けられています。
で、この三つ又なのですが、構造上、結構簡単に「ねじれ」が生じます。ちょっとした立ち転け程度でもねじれる事が多いですね。ねじれたまま放置しておくとメタル類の偏磨耗の原因になるばかりでなく、まっすぐ走っているにも関わらず、ハンドルが左右どちらかに切れているという、かなり気持ちが悪い症状が出ます。
今回これをメンテしたってことは… ハイ。実は昨年末の転倒からなんとなくハンドルが右に切れているような気がしていたのです。(笑)
が、二輪車の場合、前後のホイールの整列状態(殆どの場合、後輪のアクスルシャフトの整列)が原因でも同種の症状が出ますので、面倒でしたが両方とも確認する事にしました。カウルを剥ぐのが面倒なんですよねぇ>油冷R。いや、正確には再度装着するのが面倒臭いのです。エアインテークのダクトがねぇ…
1)フロントフォークの整律
#ここで取り上げる方法はGRAというジムカーナ団体主催のセッティング講習会で教えて頂いた方法です。一般的な方法なのか、はたまた著作権があるのかも不明なのですが、少なくとも私が考えた方法ではない事を始めにお断りしておきます。
a.トップブリッジ直下とフロントアクスル近辺に適当な長さの角パイプを固定します。ほんとうは何人かで作業すると楽なのですが、今回は巨大輪ゴムを利用して固定しました。鉄パイプだと重いので軽量なアルミパイプの方がいいかもしれませんね。丸パイプはたわみますので、角パイプがベストです。今回は10mm角、長さ1000mmのパイプを2本使用しました。
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b.車体を起こし、上下パイプのズレを真上から観察します。パイプの長さは1m程度あったほうが、小さなズレも増幅されて発見出来ると思います。
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c.ズレを確認したら、トップブリッジのセンターナットとアンダーブラケットを固定しているネジを緩め、ハンドルを左右どちらかのストッパーに当たるまで切り、ガンガンとストッパーに当ててズレを修正します。基準はトップブリッジ側におくと良いでしょう。それでも修正しきれない時は… タイヤを蹴るという手段もありますがホイルベアリングにあまり良い影響を与えないので自己責任でお願いします。(笑)
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d.上下パイプのズレが修正されれば、緩めたボルトを絞めてお終いです。倒立フォークの場合、締め付ける際にはオーバートルクにはくれぐれも注意が必要です。本来はトルクレンチを用意するべき作業のようです。せっかくですのでボルトの洗浄とグリスアップもやっておきましょうね。
2)前後ホイールの整列
1の整律をきちんとした後でないとこちらの作業はあまり意味がありません。
a.センタースタンド、あるいはレーシングスタンドを使い、車体を直立させます。
b.正面からしゃがんでバイクを眺め、フロントタイヤをリアタイヤの中央に来るようにハンドルを切ります。1の作業を実行した場合、このときハンドルは真直ぐ(左右どちらにも切れていない)な状態にある筈です。
c.バイク後方に廻り、しゃがみ込んでリアタイヤのエッジでフロントタイヤが完全に隠れた時のリアタイヤのサイドウォールの見え具合を左右で見比べます。寝そべらないと難しいかも知れませんので、よごれてもイイ恰好で作業して下さい。(笑)
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d.サイドウォールの見え具合が左右で違う場合は、ホイールの整列が取れていません。スイングアームのチェーン調整用目盛りは結構アバウトに出来ていますから、これを目安にチェーン調整をすると整列は結構ずれます。Rの場合、右側にはリアブレーキのキャリパやマフラーがあってサイドウォールも比べにくいんですが…(困)ちなみに、私のRは左右で0.5目盛り程度ズレている状態で整列がとれるようです。
e.通常のチェーンの遊び調整と同じく、リアのアクスルを緩め、チェーンプラー調整で整列をあわせます。ホイール整列ばかりに気を取られているとチェーンの遊びが多かったり少なかったりするので注意が必要です。←経験済み。(笑)
f.調整後はアクスルをきちんと絞めて作業は終了です。
3)調整後の感想
やっぱ、「まっすぐ走る」ってのは基本ですね。
いや、冗談抜きで、全ての動きが「自然」になりました。人間の適応能力って案外侮れないもので、アライメントの狂ったバイクに日常的に乗っていると、それが「当たり前」になってしまって、不自然に感じなくなっちゃうんですよね。何かおかしいな?なんて感じた時は「気のせい」だなんて納得したりせず、その場でしっかりとチェックしてみるとイイかも知れませんね。
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