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●Nissin ラジアルポンプマスターへの換装

【05.04.09】

 
Nissinさんの3/4インチ(19.05mm)ラジアルマスター

 このところ急速に普及しつつあるように感じるラジアルポンプマスターシリンダ(通称:ラジポン)。これといって現状のブレーキシステムに不満がなかったので、普及版のラジポンが発売された以降も様子見を続けておりましたが、思うようにいかないタンクの塗装にいい加減嫌気がさしてきたので(笑)、衝動的に換装する事にしました。やっぱ私には「メカいじり」の方が性に合ってるんでしょうね。

 ブレンボさんのラジポンも視野のかなり隅っこに入ってはいましたが、補修部品のコスト等を考えて、純正部品の流用orデイトナさんから発売されているNissinさんのラジポン辺りに的を絞ってWebで情報を漁ります。

 

モデル

マスターピストン径

マスターメーカー

キャリパーピストン径

キャリーパーメーカー

備考

90 GSX-R750L

横置き5/8inch
 (15.875mm)

Nissin

34mm+30mm 4P

Nissin

良く出来た組み合わせだと思う。

05 GSX-R1000

 不明

Nissin

34mm+30mm 4P

TOKIKO

キャリパーピストンサイズが大きくなったそうだ

04 GSX-R750/600

 不明

Nissin

?

TOKIKO

約15000円程度

04 GSX-R1000

横置き14mm

Nissin

32+27mm 4P
2枚パッド

TOKIKO

03 GSX-R1000

横置き14mm

Nissin

30mm+30mm 4P
4枚パッド

TOKIKO

04 ZX-10R

横置き14mm

30mm+30mm ?

TOKIKO

04 CBR1000RR

11/16inch 
(17.46mm)

Nissin

32mm+27mm ?

TOKIKO

約15000円程度

04 YZF-R1

16mm

ヤマンボ(笑)

30.2mm+27mm

SUMITOMO

各部との干渉を避ける為か、シリンダが斜めになている。
レバー調節方法は本家と同じ。

Nissin汎用

3/4inch 
(19.05mm)

Nissin

デザインはスズキOEMと同じ。

Nissin汎用

17mm

Nissin

 …漁ったって割には全然使えない表ですが(汗)、R1とCBRのキャリパ/マスターの関係を見るとピストン比の傾向が掴めます。これまでのセオリー通り、キャリパー側のピストン径が大きくなれば比例してマスターのピストン径も大きくなってゆく傾向には変わりはないようです。ただ、ラジアルピストンマスターの場合はレバー比なども総合的に考えないといけませんが… こちらに詳しい考察がありましたので参考にさせて頂きました。

 05モデルでキャリパのピストンサイズが変り、油冷後期のNissinキャリパーと同じピストンサイズになったGSX-R1000K5のデータが欲しかったのですが、残念ながら手に入らず。外見はデイトナさんのラジポンと全く同じなので、ひょっとすると19mmかも知れません。(っつか、そうあって欲しい(笑))

 ってことで、安価な事で有名(純正部品で取るとリザーバカップまで含めて12000円程度)なYZF-R1のラジポンは現状のNissinキャリパーとの相性が悪そうって事で却下し、マスターピストン径が不明なGSX-R600/750の純正ラジポン、CBR1000RRのマスター(どちらもリザーバカップまで含めて15000円程度)も相性が微妙って気がしましたので、手配も楽なデイトナさんの19mmラジポンをSBSさんに注文しました。用品屋さんで買えばもう少し安いんだろうけど。(笑)

 さて、ざっと検索した際に、デイトナさんのラジポンはバンジョーの回り止めの爪が邪魔をしてブレーキホースの取り回しの自由度が低いと聞いていましたので、届いたその場でSBSさんにバイスと金鋸の歯をお借りして、ギコギコと切断しておきました。


 携帯のカメラで撮ったのでボケボケですが(汗)、黄色の矢印のツメを切り落とす必要があります。

 布のガムテープで養生し、15分ぐらい掛けて気長に切り取りました。

 こっちは家に帰ってからの写真。切断跡を平ヤスリで均しておきました。

 メーターパネルの裏を塗った黒の水性エナメル塗料を筆塗りしておきました。

 マスターのピストンの頭。球状に凹んでおり、ここにレバーから伸びるプッシュロッドが填ります。

 構造上、横置きのマスターに比較すると真直ぐ押し込めるラジアルマスターですが、多少は首を振るのでこのような構造になっているようです。

 出荷時からシリコングリスが塗布されていたので、ほんの少し足しておきました。

 こっちがレバーから伸びるプッシュロッド。マスターに填る部分が球状になっています。

 ダストブーツは蛇腹になっています。横置き型マスターとは異なり、マスター側にはブーツが填る溝がありません。コストダウンなのかなぁ…

 かなりゴツいレバー。調整範囲は6段階で、上下方向のガタは殆どありません。

 が、このゴツさがのちのち厄介な事に…(汗)

 これで事前準備は完了となり、あとは現状のマスターと入れ替えるだけ。

 

 

 …で済む筈だったのですが、事前の計測がアバウト過ぎたようで、仮組の段階でレバーの根元とカウルのブレースが5mm程干渉する事が判明。(汗) 左にフルロックさせるとブレーキスイッチが作動する程度までレバーが押されてしまいます。とほほ…

 横置きマスターで左にフルロックした際のスナップ。

 ぱっと見た限り、楽勝に見えるのですが…

 バタバタしていて仮組の時の写真を取り忘れましたが、黄色い丸印の辺りが干渉するようです。

 約20000円をゴミにしてしまうのはあまりに勿体ないですから、何とか解決策を考えないといけなくなりました。(泣 干渉を避けるには、レバー側/ブレース側、どちらかを加工するかしないといけませんが、レバー側を加工すると転倒時のスペア手配に非常に手間がかかってしまいますので、ここはブレース側を加工するしかなさそうです。

 車載では加工は不可能ですので、カウルをストリップし、ブレース単体を取り外す必要があります。ってところでバイクを使う予定に間に合わない事が確定し、この日はここまで。少し頭を冷やして、ブレースをどう加工するかを考える事にしました。


【05.04.10】


加工が完了したカウルブレース

 さて、干渉部分をどのように加工するかについて、猪名川サーキットライディングスクールのメインイントラで、昨年の8耐クラス優勝者でもあるNイントラとSBS店長のお二人に相談した所、両者とも、「パイプだからグラインダーで削ると穴があくし、強度も落ちるのでハンマーで潰すのがイイのでは?」っとのご意見。至極ごもっともな話なので朝からいそいそとブレースを外し、手持ちで一番大きなハンマーでぶっ叩いてみましたが、丁度溶接のビードが持ってある部分でもあるからなのか、気持ち平らになった程度で全然潰れてくれません。(泣 今からバイクを組上げてハンマーを買いに行くのも面倒臭いので、グラインダーのご登場です。←安直!

 3年ほど前にコーナンの特売で1000円位で手に入れたディスクグラインダー。たまにしか使わないのですが、最近は100均でディスクも手に入るのが嬉しいですね。

 横から見るとこんな感じ。

 穴が開いた部分には金属パテを詰め、黒のエナメル塗料を筆塗り。

 駐輪場には電源がないので、削っては仮組、当たる部分をマークしてはまた削り… っと、8往復ぐらい上り下りしたので随分時間がかかりました。(疲)

 ハンドルはステムを中心とした円運動、レバーの上下はハンドルバーを中心にした円運動なので、ブレース単体を削る際にイメージを掴み辛く、随分無駄に削ってしまった気がします。


グラインダーを使う際は必ず保護眼鏡を着用し、切り粉が飛ぶ方向を意識して作業して下さい。

 で、最終的にはこんな感じになりました。

 神業的なクリアランス(笑)

 実はレバーを一番遠くするとまだ当たるんですが、いい加減騒音が気になったのでこれでOK(2〜6までは当たらない)としました。集合住宅はなにかと大変ですが、作業が出来なくなるのは困ってしまいますので。

 なんとかクリアランスも確保出来ましたので、車体からブレーキ一式を取り外し、横置きマスターからホースを分離。今までの取り回しを基本としてラジアルマスターまで導き、新たに用意したP1.25mmのバンジョーで締結しました。比較的長さに余裕があった&もとから20°の角度がついていたのでこれといった問題も無く取り回しは完了。

 ここまでくれば出来たも同然&早く乗りたい(笑)ので、ここから先は写真も撮らずにメーターの取付、ハーネスの固定、外装の取り付けのあと、ブレーキのエア抜き。右側はあっさり済んだのですが、左のキャリパーのエア抜きがなかなか終わらずちょっと苦労しましたが、何度かプラハンで叩いたり、ホースを揺すったりしたらなんとか抜けたようです。最後はマスター側のブリーダーからエアを抜いて完了。

 ハンドル周りはこんな感じ。

 私は2本指でブレーキを握ので、レバー比を稼ぐ為、本当はもう少し内側にマスターを寄せたいのですが、ブレースとの干渉の絡みもあって、スイッチボックス側に寄せざるをえませんでした。

 あ、レバーは6段階調整で、3の位置で使っています。

 今までのホースの上下を入れ替え、キャリーパー側にアダプタ(ガンメタ)を接続してバンジョーを廃したストレートフィッティングにしてみました。

 RC30の開発者が「ブレーキオイルの気持ちになって見れば〜云々」なんて雑誌で語っていましたが、R750/1100は登場時からK型(89)まで、標準でこのフィッティングになってます。

 とある工具を買い出しする為、試走を兼ねて大東市方面に出かけましたが、若干タッチが軟らかくなった気がする以外は、街乗りではそれほどマスターの違いは感じられず。苦労の割には実りが…って気もしますが、交通安全週間のまっただ中なので、本格的なインプレは今週末の猪名川サーキットライディングスクールのあとにでも、ここに追記する予定です。


【05.06.27】追記

 換装後、それなりの距離を走ってしまったので、既に以前のマスターの感触を忘れつつあります。(汗)

 が、巷間噂されるような、「劇的な変化」は、残念ながら私のケースでは感じる事が出来ませんでした。強いて言えば、握りこんだ奥の方でのコントロール性が上がった気もしますが、絶対的な制動力自体は(マスター交換では)変化が無いように思います。

 真直ぐ押せるってのが売りのラジアルマスターですが、横置きマスターでも、ピストンを押す構造を球状にすれば似たようなパフォーマンスが得られるんじゃ無いのかなぁ… まぁ、そんな加工は個人では無理ですので、選択肢としてはラジアルに換装しか残ってないと思いますけど、きちんとメンテされた横置きマスターとの差は、思っているより小さいと思います。

 噂ではCB400SFのVersionSだかRだかのピストンが横置きの球状ピストン(この件、未確認です)だそうで。 今使ってるマスターが5/8サイズなら、インナーとレバーをそれに入れ替える方がコストパフォーマンスは高いかも。








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