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●姑息なハイスロ?

 ハイスロット… どことなく格好いい響きを伴うパーツですね。カスタム雑誌を紐解くとキャブ換装=ハイスロはお約束の世界で、殆どのカスタムバイクにハイスロットルが装着されています。

 この「ハイスロ」の効能は、少ないスロットル開度でキャブのバタフライやピストンを全開に出来るって物です。原理は至極単純で、右グリップについているスロットルの「巻き取り径」を大きくする事により、少ない開度でワイヤーが沢山巻取れる→早く全開になるって原理です。ですので、本当はあんなにいかつい削り出しである必要はなく、プラスチックのプーリー部分だけを交換できれば話は早いんです。ま、所有欲は確かに満たされると思いますけど>削り出しスロットル


イメージ図

 が、当然の事ながら、ノーマルというか、公道走行用のバイクのスロットルハウジング部分には様々な補器類のスイッチ(セルであったりキルスイッチであったり)が付いていますので、「削り出しハイスロ+OW-01用薄型スイッチ」なんて組み合わせが定番になっているようです。この組み合わせは見た目もかなりスッキリしているのですけど、「いじってます!」って雰囲気を醸し出してしまうので、私の趣味には合いません。(ステンとはいえ、ケーブルの長さ調整部分は結構さびますし、雨でも走るので防水も心配。実は昔のバイクにはハイスロ入れてたんです。)

 この1年間、ジムなどの走行を通じて痛感した事は、「俺はまだまだRの全開域を使っていない」ってものでした。勿論、パワーにはすっかり慣れているのですが、せせこましいコース内でスロットル全開をくれるのはかなり「物理的に無理がある」んです。タイムを争う競技においては、「いかにスロットルをあける時間を長く取るか」こそ最重要ポイントなのでこれは辛いです。

 R750Lのタンク形状や、ノーマルでのスロットル開度(約90度)が大きすぎて、直線以外は「グリップを持ち替えない限り」簡単に全開にならないんですな。キャブは負圧のままですので、強制開閉に比べ、「ON/OFF」に近いラフな操作を受け付けてくれるにも関わらず、バタフライを全開に出来ない。タイム、伸びない。面白くない。(笑)(強制開閉式で低回転で大きくスロットルをあけると失速しますが、負圧式はほぼ大丈夫なのです。というか、回転は上がっているのにバタフライが全開でない事も多いですね。同じ回転数でもバタフライが開いている程、実効出力は大きいです。>負圧式。ちなみにカタログのグラフは「全開固定」でのグラフですので、いくら同じ8000回転でもバタフライが1/2開度だと出力はかなり落ちます。)

 ってなことで、見た目ノーマルのまま、スロットルプーリーの巻き取り径が大きいパーツに変える事を目論んでおります。ノーマルのスイッチボックスに納まり、かつ、現状よりもスロットル開度が少なくなるものを物色中。(けど、BSTキャブはもともとキャブ側の巻き取り量が多い関係でかなり難しいかもしれませんな)見た目も重要視するカスタム派には理解しがたい姑息な改造ですね。私は「実利」さえあれば見た目は地味な方が好きなのです、ハイ。(笑)

 なお、ノーマルR750Lの主要データは以下の通り。88〜91のR750は全て「引き側のみの1本ワイヤー」で、戻りはキャブ側のスプリング張力のみに頼ってます。(時代ですな)

スロットル開度(グリップ計測)

約90度(バタフライと1:1)

プーリー巻き取り径(直径)

30mm

プーリー最大径(半径)

25mm

ワイヤー移動量(全閉→全開)

約23mm

スロットル全長(グリップ部含む)

135mm

タイコ径

6mm

スロットル内径

22.5mm

 ちなみにヨシムラのスロットルパーツは

となっています。ちゃんとボディーサイズで巻き取り径が違いますね。TMRにTM用を使って、全開まで45度!とかになっている人も多いようですが、危ないですよぉ......。お節介かも知れませんが、事故に巻き込まれるのは御免なので。

 TM/BST用スイッチ付きスロットルを買うのが話は一番早いのですが、なにせ定価が「29500円」ですんでねぇ.......。ヨシムラを応援する気持ちはかなりあるんですが、ちょいとコストパフォーマンスが.......。


【00.06.03.】

 うだうだ悩んでても始まらないので、必要なプーリー径を計算してみました。ノーマルがφ30mmで開度90度ってことは、全閉から全開まででのおおまかなワイヤー移動量は、30*3.14の1/4ですから、おおよそ23mm。ハイスロに変えてもキャブ側のプーリー径を換えない限り全開までのワイヤー移動量自体は変わりませんので、求める開度から必要なスロットル径が逆算出来ますね。

 おおよそ60〜70度でスロットルが全開になって欲しいので、逆算すると、

と、おおよそ直径40mm程度が必要な事が分かりました。ますますヨシムラのパーツが気になりますな。やっぱちゃんと計算して数値を決めているんですね>ヨシムラ 内部パーツだけでも売っている事は分かったのですが、ノーマルのスイッチボックスにそのまま付くのかが分からないので注文をためらっています。(4000円)


【00.06.23】


ノーマルのスロットルグリップ。
グリップラバーが今使ってるのとは違うんですが、開度などは同じ。
ワイヤーは引き側だけですが、スロットル側には戻り側のタイコ穴も空いています。

 まぁ失敗して元々。DIYにチャレンジです。どうもこの辺の金をかけるポイントの感覚が普通の人とは違うみたいですが、参考にする人があれば勝手にやって下さい。(笑)

 最初はこのノーマルパーツに樹脂を盛って外径を大きくしようと思っていたのですが、内径30mm、外径40mm前後のパイプを必要な形にカットしてノーマルに嵌め込むという手法を選びました。この構造だと外すだけでノーマルに戻せるのもポイントですね。旋盤でもあれば母材から削り出すのが一番なんですけど、全てハンドツールでとなると必然的にプラスチックのパイプから切り出す事になりますな。都合よいサイズのパイプがあるかどうかも不明のまま、ホームセンターを物色。結局、定番の水道配管素材をチョイスしました。内径が31mm、外径が40mmと、ほぼ希望通りのサイズが継ぎ手パーツにありました。@70円なり。

 カットするサイズにあわせてガムテープを巻き、それをガイドにノコギリでガシガシと切ります。で、ヤスリで細部を整形してゆき、最終的にはこのようになりました。(パーツ単体では撮影を忘れました)


ちょっと分かりにくいカットですね。

 


加工が面倒だったタイコ部分。ここが一番ワイヤーが痛む部分なので
仕上はかなり丁寧にする必要があります。
ケーブルが極端に折れないよう、斜めに加工済み。
外周部の接線で「若干」のバリアブルスロットルになります。
(開け始めの特性が穏やかになる)

 


計測ミスで長さが足りなかった部分。
戻り側タイコ部分まで嵌め込む構造にすれば廻り止めは不要になるはず。
量産すれば売れるんだろうか?謎だな。(笑)

 計測ミスで若干サイズが短くて、引き側のストッパーのところに空白が出来てしまいましたが、まぁ動作には支障無いはず。が、相手はツルツルの樹脂ですので接着剤が上手く乗らずこのままでは固定が確実ではありません。まぁ、スイッチBOXとの兼ね合いも確認したかったのでとりあえずこのままの状態で一度実車に装着してみます。

 スロットルを入れ換えてみてもBOXとの干渉は何も無く、全閉、全開までもスムーズに動きました。BOX側のキャパは結構余裕ありです。この感じだとヨシムラの内部パーツを買ってもポン付け出来そうです。そうと決まればこの特製リングの固定を確実にすれば万事OKですので、ワイヤーと干渉しない戻り側にドリルで小さな穴を開け、そこでボルト止めとしました。戻り側ケーブルがある車両ではイモネジ利用が確実でしょうね。(尚、実際の装着は今まで使っていたスロットルを取り外し、そちらに今回のリングを装着しました。写真のスロットルは予備パーツです)

 で、再度実車に装着してワイヤーの遊びを調整。全開までの角度は計算通り、おおよそ70度弱、今までと同じだけグリップを捻ると約3割増しの実効開度になりました。材料費70円、総制作時間3時間少々。費用対効果という意味ではまずまずってところですかね。(笑)(時給計算だとヨシムラのインナーパーツを買った方が安いけどね)

 肝心の効果は実走の上じゃないと判断出来ないので、追ってここに追記します。


【00.07.09】

 実際の開度の写真を撮りましたのでUPします。ハウジングに3つの白い点が付いてますが、それぞれノーマルスロットルでの「全閉」「半開」「全開」となるポイントです。で、写真のポジションが今回の改造後の「全開」ポイントです。こうやってみるとたいした違いが無いように感じますが、実際に走ってみるとフィーリングはかなりイイ感じです。廻り込んだセクションからの立ち上がりなどでその効果は如実に出ますね。ちょっと恐いけど。(笑)


【00.10.09】

 雨の講習会で走り込んだ時、かなりスロットル操作がシビアに感じたので姑息ハイスロを一旦外しました。ボルトオン構造は現地で簡単に脱着できるので便利ですね。

 外して走り出すと、最初の1本こそ「なんかダッシュしねぇなぁ....」ってネガな面が強調されましたが、慣れてくるとスタンダードスロットルの操作性も捨てたものでは無い気がするから不思議ですね。やはり開け初めはノーマルと同等で、中間部分から徐々にハイスロになる「バリアブルハイスロ」を作ってみたいところ。材料は残っているのでこのシーズンオフにでもちょこちょことチェレンジしてみることにします。


【03.01.22】追記

 しんいちろーさんのサイトでPlotさんのハイスロの補修部品を使ったR1100のハイスロ化がレポートされています。加工の必要がないボルトオンですし、単価も安いのでコストパフォーマンスはかなりイイ方法だと思います。


【04.02.16】追記

 Y2さんのサイトでKatana1100SにTRX850のスロットルを流用したレポートが掲載されています。開度が60度位になるそうです。








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