【05.05.03】
純正のハンドルバランサーで上手く消されていますのであまり気づく事はありませんが、GSX-R系の油冷エンジンは実はかなり振動が多いエンジンです。以前、DR400Zの純正バランサーを譲ってもらった際に一度交換したのですが、あまりの微振動にものの5kmでR純正に戻した経験があったりします。
合計6点(後ろにハンガーが2本、エンジン下に2点、ダウンチューブに2点)でフレームにマウントされているRのエンジンですが、バランサーを廃したからか、前方2点(ダウンチューブに締結されている部分)だけはリジッドではなくゴムのブッシュを介してマウントされています。完全なリジッドの方がエンジンを剛性部材に出来るので有利な面もあるのでしょうが、ツインチューブフレームならまだしも、ダブルクレードルだとクラックなどの原因となるのかも知れませんね。バランサーを搭載してリジッドマウントにするか、バランサーを廃して一部ラバーマウントにするか… ユーザー側の私なんかが悩むにはちょっと大きすぎるテーマではあります。(笑)
それはともかく、エンジンに直接勘合しているゴム製品&場所柄給脂などもままならない部分ですので、製造から15年を迎えた事もあり、熱やらなんやらで硬化している事は容易に想像出来ますので、思い切って交換作業を実施しました。
実は部品は年明けには届いており、一度交換にチャレンジしたのですが、寒さと作業スペースの問題で挫折。(笑) 今回は決死の覚悟で挑みましたが、なんだかんだで開始から終了まで5時間程かかりました。(汗)
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こっちが新しいマウントブッシュ。ツバ付きの鉄のカラーにゴムを溶着させたような作りです。キャタピラ形状で微振動を吸収するのでしょう。 Bandit1200に至るまで同じ部品が使われていますので、パーツ(11681-27A00)の価格は1つ2000円しなかったと思います。 |
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こっちが約15年も使い続けられたであろうブッシュ。 写真じゃあまりニュアンスが伝わりませんが、殆ど弾力が無くカチカチで、エンジンから外す時も抵抗なく手前に出てきます。 どこから侵入するのか不明ですが、カラーの内部も随分サビてます。 |
まずはレーシングスタンドで車体を直立させ、作業をし易いようにアッパー&アンダーカウルを取り外し、比較的工具がかかり易い左側からトライ。恐らくラインでインパクトを使って締められている為、ここのボルトは鬼のように固いですから、6面のボックス(14mm)&ブレーカーバーで一気にトルクを掛けて緩めたいのですが、いかんせん作業者は私1人。(泣 しかも裏側のセルフロックナットにはエンジンスペースの関係でメガネが掛けられず、上手く掛かる位置を探してスパナで押さえる必要があります。←以前はここで挫折 インパクトが欲しい瞬間ではありますが、様々な工夫を凝らし、なんとか舐める事なくボルトを緩める事に成功。ここさえ緩めばアンダーループの六角穴ボルトを緩めてマウントプレートを外し、ブッシュを手前に引き抜くだけです。(若干ループに干渉しますが、CRCなどを吹いてコジればわりとすんなり引き抜けます)
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1番気筒側のマウントプレート&ボルト&ブッシュ。 マウントボルトにはかなりサビが出ていたので、ドリルにチャックしてCRC&ペーパーで一気にサビを落としました。 |
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エンジン側のマウント部分。 こちらも内部&座面をウェスで掃除し、ウレアグリスを薄く塗布しておきます。 |
新品のブッシュに薄くグリスを塗布し、プレートをざっと磨き、ボルト&ナットにもグリスを塗布してあとは逆手順で組立です。新品のブッシュはエンジン側のマウントとのクリアランスがかなりタイトですが、グリスさえ塗っておけばソケットなどでグッと押すだけですんなり入ります。
で、続いて4番気筒側に取りかかる訳ですが、ぶっちゃけ、ここから先は作業写真がありません。(汗) というのも、エキパイが干渉する為に、ブッシュを交換する為にマフラー一式を取り外す事になったからです。 外すのは簡単なんですが、付けるのが「無茶苦茶」面倒臭いんですよね>R750の純正マフラー フランジ部分の半月状の金具が… けどまぁ、ここで挫けてしまうと自己嫌悪に陥りそうですので、何とか日暮れ前に作業が終了するようにさっさと取りかかりました。
が、マフラーを外し、無事ブッシュの交換を終え、再度エキパイを組む前にマフラー締結ボルトにモリブデングリスを塗布し、排気ポート側のネジ穴に差し込んでみたのですが、4番気筒の上側と1番気筒の上側のネジ穴から嫌な手応えが… ネジ穴にパーツクリーナーを吹いて目視しても舐めた様子は無いのですが、このまま締め込むのはNGだと私の危険予知センサーが告げています。(泣
このサイズのタップは以前折ってしまったので現在手持ちが無く、新たに買いに行くにもバイクにはエキパイが付いてません。(汗)う〜〜〜ん(困) って時に、以前SBSさんで読ませてもらった某メンテ雑誌の記事を思い出しました。
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手持ちのボルトの下3面をディスクグラインダーで軽く削った即席タップ。 グラインダーで削るとどうしてもネジ山が痛むので、CRCを吹いたあとに同じサイズのナットに何度も通してバリを取ります。 最初、ステンのボルトを削って作ったのですが、硬すぎて歯から跳ねまくって上手く作れませんでした。(汗) |
そんなこんなで即席タップで全てのネジ穴をさらってみたところ、細かいゴミがポロポロと出てきてちょっとびっくり。その後、いつも通り何度もキレそうになりながらも(笑)無事にエキパイも装着、マフラー&外装を組み立ててエンジン始動。排気漏れもなさそうですのでさっそく試走に出かけてみました。グリスの焦げる独特の匂いが「あぁ、俺は1人でマフラーを付け外ししたのだ!」って充実感を刺激します。(笑)←ただの馬鹿だな…
始動時には交換前との違いが殆ど感じられませんでしたが、いざ実走してみると不快な微振動は全域で殆ど感じられず、なんというか、スズキのエンジンじゃ無いみたいな感じがします。(笑) もともと私のRはあんまりゴリゴリ系ではないのですが、さらに輪を掛けてスムーズになりました。
部品の値段の割にはかなり効果的なメンテナンスだと思いますが、DIYではなくお店に頼むと相当手間賃がかかりそうなメニューですので、マフラー交換時やエンジンOHに併せて実施するのが一番現実的な気がします。ま、その分、私の様なイジリ好きには堪えられないメニューなんですけどね。(笑)
あ、一応、両方交換した証拠写真を載せておきます。
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