【04.06.22】
猪名川スクール明けの日曜日。ミーティングが長引き、夕立のような激しい雨の中を帰宅しましたので、洗車を兼ねて、以前から計画していたSCAIの強化を実行に移しました。
80年代半ばからのレーサーレプリカブームはニューモデルが出る度に何かしら新しい技術が採用された時代でした。初期型油冷GSX-Rに於いてはSACS(Suzuki Advanced Cooling System)を筆頭に、DPBS、PDF、NEASなんて横文字が並んだものですが、'88年からのいわゆる油冷後期ではフロントフォークのアンチノーズダイブ機構が外された代わりに、新たにSCAIなる横文字が登場しました。…誰も覚えてくれなかったようですけど。(笑)
このSCAI(Suzuki Condenced Air Intake)なる機構は、フロントカウルに設けられたエアスクープから新鮮な空気を取り入れ、キャブレターの吸気口付近まで導こうというシステムです。…単にホースを引っ張っているだけなんですけどね。(笑) 同様の機構は、FAI(Fresh Air Intake -Yamaha)、DAI(Direct Air Intake -Honda)、K-CAS(Kawasaki Cool Air System -Kawasaki)なんてのがありました。SCAIは、現在主流のエアクリーナボックスに直接空気圧をかける、いわゆるラムエアにかなり近いのですが、この時代はまだGSX-Rはダウンドラフトキャブレターではなく、直立したシリンダーの背面にホリゾンタルキャブが鎮座していますので、苦しいなりにも何とか効率的にエアをクリーナボックス周辺に導く為、スズキさんもそれなりの工夫を施しています。
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SCAIの大まかな空気の流れです。 左側のダクトはキャブレターのすぐ上でラッパ状に開口しており、キャブレター本体、及びシリンダヘッド周りを冷却する構造になっています。 対して右側のダクトはフレームの左右を繋ぐ中空のビームにゴムのコネクタで接続されていますので、ビームに開けられた4つの穴からタンク下面とエアボックス上面、フレームで囲まれた空間を通ってシート側に流れます。(タンクのこの部分は若干エグられています) ビーム上のウレタンゴムは、タンク下面と密着する事で、シリンダ側からの熱気をSCAI出口側に伝えないようにする事が目的のようです。 |
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タンクを装着するとこんな感じです。 クリーナの吸気口とバッテリーのクリアランスはかなりタイトなのですが、実はこのバッテリー、スムーズに空気を取り入れる為にわざわざ後方に5°ほど傾けられているそうです。涙ぐましい努力だ。(泣 シールドタイプのバッテリーを搭載すればもっと効率的にレイアウト出来そうですが、実はこの工夫は'89R750RKだけにしっかりと行われています。さすが、RKって部分ですね。 |
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横から見るとこんな感じです。 実際はこの上にシートが被さりますので、サイドカバー/シート裏面/バッテリー壁面/バッテリーを囲んでいる黒い樹脂パネルを組み合わせ、新気が簡単に吹き抜けないように工夫されています。 エアクリーナの整備性が悪いのもある意味仕方がないように思えますね。 全くの余談ですが、最近のバイクはこのRのエアクリーナの辺りが実際のタンクですので、マスの集中化/燃料の増減に操安が左右され辛いんでしょうね。 |
で、表題のSCAIの強化…ですが、比較的簡単そうだとはいえ、RAMエア化するのも大変ですので、結局こんな感じになりました。
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…左右フレームのサイド部分に新たにウレタンゴムを増設し、この部分からのすきま風の混入/新気の吹き抜けを防いでみました。(笑)←それが「強化」なのか?? |
スクール明けで疲れ切っていたので(笑)、試乗はまだなのですが、きっと効果なんて分からないだろうなぁ… ま、気休めですね。
そうそう、この構造をじっと眺めていたのですが、SCAI開口部すぐにあるエアクリーナボックスの上面からフィルターを差し込むようにすればもっと効率が良さそうなのになんでそうしなかったんだろう? …なんて疑問が湧いたのですが、恐らくSCAIダクトを通じて雨などの水が流れ込む事を恐れたんだと想像します。クリーナの開口部が上面にあると簡単に吸い込みそうですもんね。
けどまぁ、最近のラムエアのバイクを見ていると、そういった心配も杞憂っぽいです。ボックスを残しての改造だと、このクリーナボックス上面に新たに穴を開けてフィルターを仕込めばかなり吸気効率は上がる予感がします。
…誰もしないだろうけど。(笑)
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