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●型式を追え

 私のGSX-R750Lの車検証には型式として、GR7AA、原動機の型式としてR716と記されています。輸入車の場合、運輸省(国土交通省)の型式認定を受けていない為、登録陸事によっては「不明」や空欄である事もあるようですが、そのコード体型は日本の型式認定制度に合わせただけで無く、ワールドワイドなある一定の法則に則って決定されているようです。

 以下の資料はある程度類推部分を含んではおりますが、1981年頃からスズキのニューモデルに順次適用されるようになったようです。(ざっと調べたところ、初出は1981年のGU71A:GS(X)1100Gっぽいです) ただ、導入当初はかなりバタバタしたようで、GR71Aは輸出モデルのGSX750S KATANAの型式ですが、国内750カタナの型式はGS75Xだったりしますし、また、GR71Fとして同じ体系のコードが場当たり的に初期型国内GSX-R750に使われていたりします。ただ、80年代後半には概ね以下の法則によるコード体系が確立されたようです。

 年度記号

 オートバイは複数年に渡って製造されるのが普通ですが、毎年機種コードを変更するのも大変なので、機種固有記号に年度記号を付与する形で、製造年を特定できるようにしているようです。以下の年度記号はスズキの他に、ホンダも全く同じものを使っています。Oは0(ゼロ)と、Qも0(ゼロ)もしくは小文字の場合に数字の9と、UはVと間違える事を恐れてか、リストから外されたようです。ひょっとすると後述のISO3779に規定されているのかも知れません。

80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
A
B
C
D
E
F
G
H
J
K
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
L
M
N
P
R
S
T
V
W
X
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
Y
1
2
3
4
5
6
7
8
9
以降、またAから繰り返すそうです。

 VIN(Vehicle Identification Number)

 元々はアメリカ合衆国独自の車両データ表示方法であったらしいのですが、1977年にISO 3779として国際標準に規定されました。仕向け地の国内法がこのISO規格準拠を求めている地域(合衆国やカナダ、オーストラリアなど)向けの車両には、このVIN規格に則ったシリアルプレートとフレーム打刻が行われているようです。(手持ちのパーツリストによると、GSX-R750では1989年の途中からこの打刻が並行して行われるようになったようです。仕向地で法改正があったのかも知れませんね)

 北米向けGSX-R1100Nの例)

VIN
(Vehicle Identification Number)
WIM
(World Manufacturer Identifier)
メーカー判別記号
VDS
(Vehicle Descriptor Section)
いわゆる型式
check digit
(この表では未計算です)
0〜9の数字またはX
Year Code
いわゆる年度記号
(上図参照)
Factory Code
工場識別コード
スズキのバイクは通常2である
(1は乗用車工場か?)
VIS
(Vehicle Identifier Section)
いわゆる車体番号

 

JS1
(スズキ日本)
GV73A
X
N
2
123456
6桁

こちらがVINの表示を義務づけられた北米向け'92GSX-R1100Nのタグです。提供を感謝します>Yoshiさん

こちらは欧州一般向けの'90GSX-R750Lのタグ。右下にはなにげにFIMのホモロゲーションナンバーが記されてますね。

 WIM(World Manufacturer Identifier)

 自動車大国の日本は、Jで始まる3桁のコード全て(JAA〜J00)を割り当てられているようです。

 で、スズキさんの場合は、JS1(二輪も四輪も同じみたいです)なんですが、これは、日本のSで始まるメーカーの1番目という、至極単純な理由で割り当てられたみたいですね(笑) じゃ、スバルはJS2なのかというと、スバルさんの正式社名は富士重工業なので、JF1が割り当てられている模様。

 但し、ホンダの二輪のWIMはJH2、四輪はJHMだったりしますので、やっぱ3桁目はメーカーさん独自で使って構わないのかも。

 また、日本国外の現地法人(現地工場とは意味がちょっと違うみたいです)製として販売される場合は、たとえスズキ製でもJから始まらない場合があるようです。

 VDS(Vehicle Descriptor Section)

 VINを採用していない国(主に欧州)向けのモデルには、VIN内のVDSに相当する部分がいわゆる「型式(Model code)」として打刻されています。スズキの場合、アルファベットと数字を組み合わせた5桁の記号となっており、それぞれの意味は以下の通りのようです。

車両カテゴリー区分
排気量区分
エンジンタイプ区分
開発順コード
仕向け地コード
C

スクータ

B

ビジネスモデル

L

ホビー?

N

単気筒ロードスポーツ

G

多気筒ロードスポーツ

F

ファミリー

S

オフロード

V

V型エンジン搭載車専用

H

スクエアエンジン搭載車専用

A

〜49cc

B

50cc〜69cc

C

70cc〜79cc

D

80cc〜89cc

E

90cc〜99cc

F

100cc〜124cc

G

125cc〜149cc

H

150cc〜199cc

J

200cc〜249cc

K

250cc〜399cc

M

400cc〜499cc

N

500cc〜599cc

P

600cc〜699cc

R

700cc〜799cc

S

800cc〜899cc

T

900cc〜999cc

U

1000cc〜1099cc

V

1100cc〜1199cc

W

1200cc〜1299cc

X

1300cc〜1399cc

Y

1400cc〜

Z

よく分からん(笑)

1

2st単気筒

2

2stツイン

3

2st3気筒以上

4

4st単気筒

5

4stツイン

6
-
7

4ST4気筒以上

前3桁で規定されたカテゴリーでのその車両が発売された1から始まる連番。9以降はA、B、C…とアルファベットが続く

大まかな仕向け地コード。通常Aが開発のベースとなったモデルであり、いわゆるフルパワーである事が多い。

日本国内向けモデルしか無い車両は常にAとなるが、多地域に輸出されている場合はFぐらいまであることもある。

また、国内向けでも、再販やバリエーションモデルの追加で末尾がB、Cと変わる場合がある。

G
V
7
3
A
V
J
2
2
A
V
T
5
1
A
G
W
7
1
A
N
K
4
2
A
C
Z
4
1
A
L
A
4
1
A
H
M
3
1
A
S R 4 2 A
型式の具体例は上から GSX-R1100、RG-Vγ、TL1000S、隼、Goose350、チョイノリ、GAG、RG500γ、DR800 です。
R/S/Tの排気量区分はちょっと怪しいのですが、779ccのDR800の型式がSR42A、805ccのイントルーダの型式がVS52C、843ccのGS850GがGS72A、
そして937ccのRF900の型式がGT73Aなので、多分こんな感じだと思われます。
ちなみに140
1ccのGSX1400の型式はGY71Aで、エンジンコードはかなり厳密に区分されている事が想像出来ます。
チョイノリの型式がなぜC
Zなのか、私に聞かないで下さい。(笑)

補足ですが、最近の国内の型式認定では、上記記号の前に、BA-やBCが付いています。
この記号はいわゆる排気ガス基準をクリアしたことの証明のようです。
上記記号が刻印されたバイクの場合、
車検時にガス検が行われますので、ノーマルマフラーは捨てずに持っておくのが無難だと思われます。

 Engine code

 通常1文字のアルファベットと3桁の数字を組み合わせたコードになっており、それぞれの意味は以下の通りのようです。

排気量区分
エンジン型式区分
エンジン開発連番
A

〜49cc

B

50cc〜69cc

C

70cc〜79cc

D

80cc〜89cc

E

90cc〜99cc

F

100cc〜124cc

G

125cc〜149cc

H

150cc〜199cc

J

200cc〜249cc

K

250cc〜399cc

M

400cc〜499cc

N

500cc〜599cc

P

600cc〜699cc

R

700cc〜799cc

S

800cc〜899cc

T

900cc〜999cc

U

1000cc〜1099cc

V

1100cc〜1199cc

W

1200cc〜1299cc

X

1300cc〜1399cc

Y

1400cc〜1499cc

Z

1500cc〜


基本的にVDSでのの区分と同じ
1

2st単気筒

2

2stツイン

3

2st3気筒以上

4

4st単気筒

5

4stツイン

6
-
7

4ST4気筒以上


基本的にVDSでの区分と同じ

 型式とは異なり、01から始まる連番である模様。R7**クラスにおいては、GS750が最初と思われますが、確たる証拠はありません。

 コード体系が確立したのがかなり遅れましたので、最初の数機種は過去に遡って規定されたと思われ、実際のエンジンには打刻は無いようです。(GSX750Sのエンジンコードはフレーム型式と同じ、GS75Xです。)

R
7
19
例は国内GSX-R750Lに搭載された油冷エンジンのエンジンコード。
4st4気筒以上のレイアウトの700〜799ccクラスエンジンで19番目に開発された物である事を示す。
GSX1100Fの油冷エンジンのモデル/エンジンコードがGV72A/V706、GSX-R1100Kのモデル/エンジンコードがGV73A/V710ですので、後期油冷(1127cc系)はGSX1100Fがベースであるとも言えそうです。


 追補

 JS1で始まる、いわゆるVIN体系のコードでは、同じ機種でも型式が2種類以上存在することもある模様です

例)Check Digitは計算してません

JS1GW71A822123456
JS1A1111222123456

2002年モデルのハヤブサの例

JS1GT74A112123456
JS1BL211212123456

2001年モデルのGSX-R1000の例

 上段は今までどおりのコード体系なのですが、下段のコードがどのように付与されているのかは、現段階では全く不明です。

 【03.02.18】追記

 98-99TL1000Rのパーツリストを見る機会があったので転記します。リストの背表紙にはE2と書かれていたので、U.K.及びヨーロッパ周辺国向けのモデルのパーツリストのようです。最後の桁はVINコード上はチェックディジットの筈なんですが… この雰囲気だと、JS1に続く2桁でモデル名を特定し、残りの4桁に様々な仕様をコード化して割り振ったような雰囲気ですね。

JS1AM1113

E2 UK

JS1AM3111

E4 France

JS1AM1212

E18 Switzerland

JS1AM3212

E22 Germany

JS1AM1114

E24 Australia

JS1AM1111

E25 Netherlands, E34 Italy


参考リンク:

2008.05.20wikipedia(Eng)へのリンクを追加
2007.01.29.DR800の型式より、R/S/Tの排気量区分を修正
2004.03.01.RG500Gammaの型式を追加
2003.05.30.GAGの型式を追加
2003.02.18.JS1体系に追記
2003.02.12.Factory Codeを追記
2003.02.09.一部加筆
2003.02.07.初稿

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