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●ライテク本 その2

 基本は「ニュートラルな状態」であって、速度が低くなれば前が倒れる感覚が増し、速度が乗れば後ろが外にゆく感覚が増すのが自然な状態です。また、そう感じられるように車体をセットアップするのがいわゆる『セッティング』の目的ですし、そう感じられるようにバイクを操るのが『ライテク』だと私は思っています。

 せっかくの機会(こんどいつ書こうという気になるか分からないという意味)なので、上記の挙動がなぜ「自然」なのかをもう少し深く掘り下げてみます。キーワードは「操舵角」と「内輪差」です。

 前回と違い、今回は180度向きをかえる必要があるコーナーを例にします。(これはイメージしやすいという理由だけで、程度の差はあれ、基本的な挙動は同じです。)まずはイメージ図から。

180度のヘアピン

 峠なんかでは良くお目にかかるコーナーですね。半径が小さければヘアピンに感じますし、大きければ定常円を長々と描く感じに近いニュアンスです。

 が、いずれの場合も、最初の進行方向に対して、最終的に180度向きをかえる必要があります。

 まがっている最中のラインを描いていないのには意味があって、皆さまの「イメージ」を各自描いて欲しいが為です。

 さて、ここで一旦、上図の事は忘れて、前回の3つのイメージを再度思い出すことにします。

前輪が倒れ込むイメージ 

 かなり単純な図形ですが、上を前輪、下を後輪と考えて下さい。左へコーナーリングする時のイメージ図です。

 速度域によっても多少変わって来ますが、ライダーは、「前輪が大回りする感じで内側に倒れこんでくる」と感じている事です。ちょうど、後輪をコンパスの中心にして前輪が円を描く感覚です。

 この場合、ライダーは前輪の存在、もしくは、自分の体が前方に伸びた感覚になります。

 減速しながらの初期旋回に近いイメージです。

車体が回転するイメージ

 これも同じく左コーナリング。上との違いは、同じ旋回でも、前後輪がバランス良く向きを変えている状態ですね。

 強いていえば、コーナーを中心に前後輪が円を描く、あるいは、自分を中心にバイク全体が回転する感じですが、実際はそういった回転軸を全く意識することなく、自分の足で歩いたり走ったりするのと違わない感じです。

 極論すれば、「バイクの存在を感じない」と言う事ができるかも知れません。

後輪が流れるイメージ

 こちらも左コーナリングですが、ライダーは、「後輪が外側に流れてゆく」「後輪で向きが変わる」感じを強く持っています。こちらは前輪をコンパスの中心にして、後輪が円を描く感覚ですね。

 この場合は、後輪の存在を自分の後側に感じると思います。自分の体が後ろに伸びた感じですね。

 コーナリングの後半、アクセルを開けていく時の感覚に近いかな。

 そして最後が、このイメージ図です。

複合したイメージ

 あまりいい図ではないのですが、上記3例を連続した動きと捉えた概念図です。

 1)倒し込みでフロントが周りこみ、2)旋回し、3)アクセルを開けるとリアが周りこむことにより、この図では最終的に130度ぐらい向きが変わってます。

 一連のターンに於いて、それぞれのステップが占める割り合いはライディングスタイルやバイクの種類、半径の大きさや通過速度で変わってきますが、概ねこのような動きをすると考えれば間違いないと思います。>バイク

 で、ようやく、「それは何故なのか?」の説明に入ります。

 ご承知の通り、バイクには2つのタイヤが付いています。が、このうち左右方向に「操舵」できるのは前輪だけであるのが普通であり、後輪はフレームに対して常に同じ方向を向いています。直進状態ではそれぞれのタイヤの描く軌跡は同じ線上に並びますが、コーナリング中はそれぞれ異なります。

前輪/後輪の向き

 その説明が左の図です。

 コーナリング中は、それぞれのタイヤの向きが違いますね。すると結果的に、それぞれのタイヤがトレースするラインは異なる事になります。それがいわゆる「内輪差」と呼ばれる現象で、通常はリアタイヤのほうが、前輪より内側の軌跡を描きます。

 また、その物理的な距離の差は、前輪の舵角とホイールベースによってほぼ自動的に決まります。舵角は大きい方が内輪差は大きく、ホイールベースは長い方が内輪差も大きくなります。(チャリンコを押して実験すればすぐに分かります)

 さて、バンキングとは、直列であった前後タイヤが、フロントが切れてゆくにしたがって舵角が付いてゆく状態です。つまり、内輪差はどんどん大きくなってゆきます。この状態の時、ライダーは「前輪が周りこむ」感覚を覚えます。

 で、ある一定の所までバンクすると、遠心力とつり合ってバンキングは止まります。それが「旋回状態」ですね。内輪差は増えもせず、減りもしない一定の状態です。

 最後に、アクセルを開けて立ち上がる場合。この時だんだんとバイクは起き上がり、舵角は減ってゆきます。すると、内輪差も必然的に減ります。この内輪差の変化を、ライダーは「リアが周りこむ」と感じるのです。

 前述の通り、内輪差の大小は舵角の大きさとホイールベースにより、概ね決まってしまいます。(厳密にはもう少し複雑です) つまり、バイクによって、物理的な内輪差、ひいては「どの傾向を強く感じるか」もまた違って当然なのです。また、内輪差が大きければ、前輪と後輪の「角速度(同じ角度を同じ時間で曲がるためには外側の方が早く動かねばならない現象の事です)」も違ってきますね。曲がるRが小さくなればなる程、内輪差や角速度による印象が占める割り合いは大きくなるのが普通です。

内輪差の実例 gif movie

内輪差の例です。ご参考にどうぞ。







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