【04.04.04】
雨の日曜日はなんだか憂鬱になります。桜も散ってしまうのかなぁ…
なぁんてセンチになっても似合わないので(笑)、何故か左側のみストックされていたニッシンの4Pキャリパーを突発的に簡易OHする事にしました。使う予定は今のところないのですが…(汗)
キャリパーのメンテといえば、中性洗剤での丸洗い+揉みだしがかなり一般的になりました。私の記憶では90年代の中頃、タッチバイクという雑誌で浅川スピードの浅川氏が連載記事の中で取り上げたのが最初だったと思います。勿論、こういったメンテナンスをしないよりはする方がイイ事は良く分かるのですが、このサイトでキャリパの丸洗いについてはあまり取り上げなかったのには理由があります。というのも、実はキャリパには丸洗いでは清掃出来ない部分が沢山あり、そこをメンテしようとおもうと結局キャリパを割る必要があり、どうせ割るならシールなどを全てリフレッシュする方が効果的(そんなに高い部品ではないので)だからです。今回、簡易OHと表現しているのはシール類を交換していない、単なる分解だからです。(笑)
以下、丸洗いではメンテ出来ない、キャリパーメンテナンスのツボとなる部分です。
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赤色がダストシールがはまる溝、黄色がピストンシールがはまる溝です。 この溝には細かなゴミや結晶化したブレーキフルードが噛み込む事が多いのですが、残念ながら丸洗いでは掃除する事が出来ません。 清掃時は60度ぐらいのお湯+洗剤+歯ブラシを使えばかなり綺麗になります。仕上げに熱湯をヤカンから浴びせればエアツールがなくても割と短時間で乾きます。(笑) |
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左がダストシール、右がピストンシールです。外径は異なりますが内径はほぼ同じです。 新品のシールは真円なんですが、制動時にかかる力は一方向ですので、経年変化でだんだん形が歪んできます。清掃時にピストンを回してもシールの変形は防げませんので、シール自体を回すにはどのみちピストンを抜かないといけません。 |
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ピストンシールは完全な角断面で表裏無しなのですが、ダストシールのピストン側は中央部に溝がある2リップ構造になっています。爪楊枝や先を丸めたマチ針などで溝を清掃すると、思っている以上にゴミが出てきてびっくりします。 実はここに溜まるゴミが引きずりの主原因なのですが、残念ながらこの部分も丸洗いでは清掃出来ません。 ピストンにシリコングリスを塗って滑りを良くすれば一時的に引きずりは解消されますが、原因を基から断てればそれが一番です。 |
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ダストシールがはまる部分は単純な溝なのですが、ピストンシールの溝は大袈裟に描けば左図のようになっています。シール自体は角断面なので、結果的にピストンシールは平行四辺形状に変形してキャリパに装着される事になります。(シール下側がピストンに強く当たる) このあたりの形状はロールバック量のコントロールの要なんでしょうね。 |
以下は知っているとエア抜きが楽になるかも知れないフルードの経路図です。
ピストンを押し出す為にキャリパにはフルードの通路(赤色の実線)があいています。 ブリーダが一番高い場所にあるオーソドックスな造りですが、各通路はかなり細い穴ですから、完全にエアを抜こうとするとそれなりに苦労するのはある程度仕方がないかも知れませんね。 |
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ピンボケで申し訳ない。(謝) 大小のピストンを繋ぐ通路は比較的大きいですが、左右を連結する為の穴は鋳型から抜いた後、追加工であけられているからか、かなり細いです。 |
エア抜きのコツは、液体中の空気は上に昇るという事をしっかりと把握して作業する事です。このキャリパはブリーダが一番上に位置しているので比較的楽だと思いますが、入浴時によく観察すると、空気というのは足や腕、浴槽の壁にかなりしつこくへばりつくやっかいな性質をもっていますし、フォークへのマウント時にキャリパの角度が写真の通りだと黄色の部分に溜まったエアは、車載のままではまず抜けません。(実際はもう少し角度がついてマウントされていますが、それでも抜けづらい事は確かです)
OH時など、完全にフルードを満たす必要がある場合は、
と比較的簡単にエアは抜けると思います。他社のキャリパも似たり寄ったりの構造ですのでご参考にどうぞ。
継続的にBBSで問い合わせがあるので、OHキットの品番をこちらにまとめておきます。
ここへの追記が妥当かどうか分かりませんが、初期型GSX-R+Nissin 4Pキャリパーの組み合わせは、Shop系の既製品が無い関係であまり一般的では無いのですが、先日久しぶりにYahoo!の検索でネットを彷徨っていた所、こんなサイトを見つけました。
コーヘーマシンR&Dさんのページ http://www1.odn.ne.jp/~cit46440/custom_report/gsx-r750.htm
装着例はφ310mmのディスクに換装されているようなので、このサポートがボルトオン出来る機種は86限定RR、87R750、86〜88R1100に限られそう(ディスク径の関係で)ですが、流用をお考えの方は一度お問い合わせになるのもイイかも知れません。
極端な装着位置のオフセットも無く、非常にスマートな取付のように見えますが、キャリパの下側の穴が共締めっぽく見えるので、ひょっとするとフォーク側にも加工が必要かも知れませんが…(初期型のキャリパマウント穴は8mm、Nisshinキャリパのネジ径は10mm)
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