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●バネのお話

【00.08.31】

 今回は「バネ(スプリング)」の話です。

 バイクで一番多く使われるバネはいわゆる「コイルスプリング」と呼ばれるタイプですね。フロントサスやリアサス、負圧キャブのダイヤフラムやリアブレーキペダルやスタンドのリターンスプリングなどなど、ちょっと眺めただけで沢山発見する事が出来ます。

 この「コイルスプリング」なんですが、誤解と言うか、誤った知識をお持ちの方も多いようです。

である事について書いてみます。

 まず最初に、この概念図(最近こればっか)をご覧下さい。

 まことに「なんだかなぁ」という感じのやっつけな図ですが、色に敬意を表して、左をオーリンズ、右をペンスキーとでもしましょうか。

 この二つのバネ、どちらが「固いバネ」かというと、黄色いオーリンズの方です。一般に、材質が同じで、巻径、巻ピッチが同じであれば、線径の太いの方が固いバネになります。

 こちらは同じオーリンズでも、高さがちがう場合です。

 この二つのバネ、どちらが固いかというと、右の低いバネです。一般に、線径、巻径、巻ピッチが同じであれば、背の低い方が固いバネになります。

 1巻カットの車高短(シャコタン).....なんて由来も知ってる人は減ってしまったかも知れませんね。

 っとまぁ、このあたりは結構解説される事が多いのでご存じの方も多いと思いますが、もう少し踏み込むと、「バネ」に対する理解も深まりますし、応用問題に直面したときにも便利です。

 「巻いてある」ことが特徴のコイルスプリングですが、それぞれの部分をミクロな視点で見てみると、いわゆる「捩り」や「たわみ」の動作によって反発力を得ている事に気付くと思います。つまり、上図のそれぞれは、以下のようなバネと本質的には何の違いもありません。(材が板なら板バネ、棒ならトーションスプリングなんて呼ばれますね)

 それぞれのバネをほどいて真直ぐな鉄棒に戻します。一端を固定し、もう一方にそれぞれ同じだけの力を加えます。

 同じ長さなら、太い方が固く(たわむ量は少なく)、同じ太さなら短い方が固い事が容易に理解できると思います。

 バネの解説では、巻径がどうだの、ピッチがどうだの、線径がどうだのと色々書かれています。けど、ここまで展開して考えれば比較的簡単に「バネの固さ」もイメージできますし、比較も容易です。同じ太さ、同じ長さの鉄棒であれば、どのように巻こうが、得られる「反発力」は同じです。

 この「反発力」こそ、サスペンションの第一目的である、「バネ上(車体)を支える力」に他なりません。(ダンパーは車体を支えてはくれません)ライダーを含めた車重や、加速力、減速力によって必要な「バネの反発力」は必然的に決まります。前述のとおり、バネ材はどのように巻いても反発力は変わりませんが、バイクの場合、スペース的な問題と、操安の関係で「この範囲の中で上下して欲しい」数値がある程度決まっています。今のロードバイクだと前輪で120mm前後、リアサスの実ストローク(リアのアクスルではない)で90mmぐらいですか。車体を浮かすのに必要な「反発力」は同じでも、巻き方によって「どれだけの力で押した時にどれだけ縮むか(** kg/mmという表記が一般的)」をかなり自由に変える事ができるのがコイルスプリングの一番のメリットです。それらを総合的に勘案して線径や巻径、ピッチなどが決まるんですね。

 つまり、

って感じです。一言で「固いバネ」と表現される場合も、どちらの要素の話なのかは大事です。まぁ、通常は後者(** kg/mm)しか問題にならないとは思いますが。

 同じバイク向けのリプレイスサス(サスの全長はほぼ同じ)でも、付いているバネは結構違います。同じ「**kg/mmのバネレート」でも、細く長い材料を巻径やピッチを広く巻いているのか、太く短い材料を小さく狭く巻いているのかって感じ。まぁスペース的な制約があるので極端には違わないと思いますけど。特集なんかでよくショックの写真が掲載されていますが、ボディーだけでなく、バネにも着目して眺めてみると、メーカーのバネに対する考え方の違いなんかもおぼろげに見えてくるかも知れませんね。

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