【01.03.30】
チェーンのあそび
久々に(っつ〜か、初めてか?)リクエストがあったのでおもてを更新しようと思ったんだけど、まぁなんとなくこちらで。ここもファイルサイズがでかくなったし、そろそろ整理時だな。
さて、リクエスト部分を引用しますと、
>>非常に初歩的な質問させて下さい。
>>チェーンの遊びってどう調整されてます?
>>というのは回転させてゆるい部分で20-30mmというのは分かるのですが、
>>それって乗車時?非乗車時?それとも????
というものです。念のために国内R750Lのサービスマニュアルを確認すると、サイドスタンド駐車で計測して、ドライブスプロケット/リアースプロケットの中間地点でチェーンの振幅を25〜35mmに調整せよとあります。無改造なバイクならこれをそのまま適応すればイイでしょう。(当然バイクによって数値は変わりますよ)
では....っと自分のバイクを改めて測ってみると、サイドスタンド駐車計測で、約45mmとなりました。ずいぶん多いですねぇ......っと単純に考えるのは間違いです。なぜなら私のバイクはノーマルじゃないから。結果として今の数値になっているだけの話で、こういった事は原理原則を理解するのが近道です。
お手元のバイク雑誌をひも解いてみて下さい。出来ればレーサーの写真が載ってる雑誌がイイかな。走行状態だと良く分かりませんが、整備中のバイクの写真などが掲載されていればそのレーサーのチェーンの状態を見るとかなりダルダルになっている事を発見すると思います。古いレーサー程その傾向は顕著ですね。じゃぁ私は見た目をレーシーにするためにダルダルにしているのか?(笑)
かなり極端ですが、まずは以下の図を御覧下さい。
どうってことないスイングアームの動きを示した絵なんですが、このようにスイングアームはピボットを中心に円運動をするように作られています。もしここで、ドライブスプロケットがスイングアームピボットと同じ位置にあれば、チェーンのあそびはスイングアームの位置に関わらず変化はしません。(わかりますよね?)
ですが、実際のバイクはスイングアームピボットよりも前方に、チェーンを駆動するドライブスプロケットがあります。
上図のように、ドライブスプロケット、スイングアームピボット、リアホイールアクスルが一直線に並んだ時がいちばんチェーンが張る状態だという事(2点間の距離が一番長い)はお分かりいただけると思います。(3軸の関係によっては必ずしもスイングアームが地面と平行になった時とは限りませんので御注意を。)
つまり、この状態で若干のあそび(1cmも要らない)を確保すれば良いだけで、その調整をしたあとで、サイドスタンド駐車で再度測れば「(サイドスタンド駐車での)あなたのバイクの適正なチェーンのあそび量」が分かるだけの話です。
サイドスタンド駐車をすると、スイングアームは上図のように下がりますから、ドライブスプロケットとリアのスプロケット下側を結ぶ直線距離は(アームは円運動する関係で)一直線の時よりも短くなります。コマ数は減りませんから、その分チェーンは下側に弛みます。これが「あそび」の正体です。故に、あそびを少なく調整してしまうと、スイングアームが上側に動けなくなる可能性がある事に注意して下さい。大排気量車の場合、チェーンは簡単に切れます。また、切れるまでいかなくても、それ以上スイングアームは動けなくなってしまう(リジッド状態)わけですから危険です。(余談ですが、上図の赤丸の部分には必ずチェーンバッファと呼ばれるゴムのダンパが付いてます。ここはどうしてもスイングアームと干渉しちゃうんですね>ピボットとドライブスプロケットが同軸ならそんな事は起きないんですけども。)
で、話は戻って、なんで私のバイクやレーサーのチェーンは一見ダルダルに見えるのかというと、空車時(サイドスタンド駐車時)のスイングアーム角度が立っているからです。車高調の影響もありますし、私は自由長が長いリアサスに換装してますし。また、換装していない場合でも、空車時のスイングアーム角度はリアサスのイニシャルでも変わりますから、見た目のあそび量はイニシャル最強と最弱では結構違います。(これがマニュアルの「振幅を25〜35mmに調整せよ」の10mmの幅の意味です。)また反対に、最近のバイクはドライブスプロケットとスイングアームピボットの位置がかなり接近してきています。ということはチェーンの見た目の遊びは少なくなってきている傾向にあります。
つまり、サイドスタンドで測ろうが、レーシングスタンドで測ろうが、測り方そのものは本質ではないという事で、「3軸が一直線に並んだ時に若干のあそびをとる」事がチェーン調整における正解となります。
ただ、リアショックをつけたままで3軸を一直線に並べつつチェーンを引くなんて作業はタイダウンを駆使しない限り一人では無理ですから(笑)、走行会など、人数が集まった時に数人でシートを押してもらい、3軸を並べてあそびを測るって作業を1度は必ずする必要がありますね。一度調整してしまえば、データが残りますから、その後はやりやすい方法でその数値に合わせればイイだけです。(厳密にはチェーンの伸びも絡むのですけど、割愛)
こんなんでいかが?(笑)
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